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天然ゴム・合成ゴム価格が高騰

タイヤ3社、今期タイヤ値上げが課題に

タイヤ 2017-02-20


 原材料価格の高騰は深刻な状況だ。いずれも昨秋以降に急騰しているが、天然ゴム価格は16年年初に比べ約2倍、合成ゴム原料であるブタジエン価格は急騰前に比べ約3倍に跳ね上がっている。

津谷ブリヂストンCEO


 昨秋から急騰している原材料価格だが、16年年間でみると低位で安定していたこともあり、タイヤメーカーにとっては増益要因だった。それが一転して減益要因となるのだが、その額が大きい。営業利益段階(住友ゴム工業は事業利益段階)で、ブリヂストンは1,370億円、住友ゴム工業は551億円、東洋ゴム工業は141億円の減益要因になると見込んでいる。

 原材料高騰について、2月14日に決算説明会を開催した住友ゴム工業の池田育嗣社長は「2017年度の一番の懸念材料。価格高騰に対して、我々がいかにスピーディに対応できるかが大きな課題であり、やらなくてはならないこと」と危機感をあらわにした。

 タイヤメーカーでは販売増、付加価値商品の販売比率向上、タイヤ値上げにより、原材料高騰分のコストを吸収していく考えだが、年単位で見ると厳しい部分もある。

池田住友ゴム工業社長


 新車用タイヤで採用されている、原材料価格連動方式では時期ずれが生じる。池田社長は「原材料価格の上昇の方が、タイヤ価格の上昇よりも早く進む。新車用タイヤで採用している原材料価格連動の方式は約半年遅れになっているため、タイムラグが発生する。この原材料価格と新車用タイヤ価格の間のギャップは先々には埋まるが、今年はギャップとして生じることになる」とし、2月17日に決算説明会を開催したブリヂストンの江藤彰洋執行役副社長CFO・財務担当も「原材料価格に対し売値反映までにはタイムラグがあり、1年単位で見ると、全てまかなうのは難しい」と語る。原材料価格の上昇局面では、新車用タイヤの価格は後追いになるようだ。

清水東洋ゴム工業社長


 市販用タイヤの値上げは、海外市場で先行する。2月15日に決算説明会を開催した東洋ゴム工業の清水隆史社長は「米国市場では4月からの値上げ実施に向けた取り組みに着手している」とし、また2月16日に2017戦略発表及び新商品説明会を開催したグッドイヤーのマイク・リトコスキー アジア・パシフィック地区消費財担当副社長は「利益率を確保するにあたって、価格は上げる方向だ。地域によって若干の時間差は出てくると思うが、収益性の確保を念頭に置いている」と語っている。北米では、ブリヂストンも3月からの値上げをすでに打ち出している。

 残る焦点は国内での値上げ。現段階で表明しているメーカーはない。

 国内値上げについてブリヂストンの津谷正明取締役・代表執行役CEO兼取締役会長は「各市場で市場動向を勘案し実施する。全ての市場で適切に対応する」と話す。また清水社長は「国内は今のところ考えていないが、状況を見て可能であれば値上げしていく。状況を見つつ検討する」と語り、日本グッドイヤーの金原雄次郎社長は「原材料コストが全世界で上昇しているのは事実だが、市場ごとに競争環境が異なる。必ずしも他の地域で行っているように日本でも値上げを行うことにはならない。市場動向を注視する」と語った。国内では、各社とも市場動向を注視していく姿勢のようだ。

 気になる今後の原材料価格見通しについて、池田社長は「高止まりしている状況が続くと見ざるを得ない。昨年よりも原材料価格が上がるという事実は変わらない」とし、江藤執行役副社長CFO・財務担当も「原材料価格は適切なところに落ち着くと見ているが、高値はある程度継続するだろう。昨年ほど安くはならない」と話す。

 原材料価格の高騰は、タイヤメーカーにとって大きな収益圧迫要因となるが、その構造はゴム工業用品メーカーにとっても同様で、今後対応を迫られることになりそうだ。

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