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11月4日まで開催、タイヤ中心に新技術など披露

第46回東京モーターショー2019が開幕

タイヤ 2019-10-28


 「第46回東京モーターショー2019」が10月24日から開催している。24日には、タイヤメーカーを中心にプレスカンファレンスが開かれ、各社が新製品・新技術等を披露した。

 ■ブリヂストン

会田ブリヂストンフェロー


 ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初のポリマー「SUSYM(サシム)」を紹介した。

 SUSYMは2018年5月に発表した「High Strength Rubber(HSR)」をさらに進化させたもの。一般的な合成ゴムより耐破壊特性が高い天然ゴムに比べ、耐亀裂性が5倍以上、耐摩耗性が2.5倍以上、引張強度が1.5倍以上という、HSRの持つ特徴はそのままに、穴が開きにくい(耐突き刺し性)、治る(再生・修復性)、低温でも強い(低温耐衝撃性)などの性能を飛躍的に高めた。ゴムのしなやかさと樹脂の強さを両立しながら、それぞれの特性を自在に引き出すことができる。

 発表した会田昭二郎先端技術担当フェローは「この技術はブリヂストンしか持っていない。今までの常識を覆すような非常に面白い機能が備わっており、SUSYMひとつで色々な世界観が表現できる。タイヤに使いたいと思うが、それだけではもったいないという思いが非常に強い。SUSYMで社会全体を支えていきたい」と語った。

 ブリヂストンブースでは、SUSYMを活かしたコンセプトタイヤの展示を行っている。

 ■住友ゴム工業

山本住友ゴム工業社長


 フラッグシップ低燃費タイヤ「エナセーブNEXTⅢ」、デジタルツールで得たデータを利用した新たなソリューションビジネスを発表した。

 エナセーブNEXTⅢは、性能持続技術を投入することで、従来品エナセーブNEXTⅡに比べ2万キロ走行後のウエットグリップ性能の低下を半減させた。性能持続技術を用いたタイヤは2020年に発表予定だったが、1年前倒した。

 独自のAI技術「Tyre Leap AI Analysis」と新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を用い、タイヤの摩耗や経年による性能低下のメカニズムを分子レベルで解明。これまでと全く異なる新しいポリマー「水素添加ポリマー」をタイヤで初めて採用した。これにより、ゴム内部の分子の強い結合力と切れても戻る結合を実現でき、ウエットグリップ性能の低下を半減させた。

 山本悟代表取締役社長は「タイヤの性能は、摩耗や劣化によって新品時から少しずつ低下していくが、当社はそれをゼロにすることを目指し技術開発している。今回の開発には最新のAI技術を導入し、使用後のゴムの変化を徹底的に学習させた。当社はIoTやAI技術の革新による市場変化を新たな事業機会と捉え、新しい時代と新しいモビリティ社会のためのタイヤ及びその周辺サービスをこれからも提供していく」と語った。

 ■横浜ゴム

野呂横浜ゴム取締役常務執行役員


 アルプスアルパインと乗用車用タイヤセンサーの共同開発を行っていることを明らかにした。タイヤセンサー開発の加速化が急務と判断。タイヤから得たデータをユーザー等にフィードバックするシステムやアプリケーションの開発が重要と考えた。

 横浜ゴムは、CASEにおけるコネクテッドの領域で、従来のタイヤ空気圧検知に加え、摩耗検知、路面検知のデータをデジタルツールで処理・管理していくソリューションビジネスの展開を視野に入れている。

 発表した野呂政樹取締役常務執行役員・技術統括兼研究先行開発本部長兼MB生産・技術担当は「今後は、空気圧情報をパンク検知以外にも利用していくことが想定される。例えば車両の多くを管理している会社では、個々の車両の空気圧をクラウドで一括管理することにより、空気圧低下による燃費の悪化を防ぐことなどができる。タイヤの今後は、タイヤセンサーから得た情報をいかにフィードバックしていくかというシステムやアプリの開発も重要だ。共同開発により、新しいタイヤビジネスモデルのシナジーも期待している」と語った。

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