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2024年12月期業績

横浜ゴム、売上収益、各利益が過去最高

決算 2025-02-20

説明する山石昌孝会長兼CEO


 横浜ゴムの2024年12月期業績(IFRS)は、売上収益が1兆947億4,600万円で前年同期比11.1%増、事業利益が1,343億7,900万円で同35.6%増、純利益が749億1,900万円で同11.4%増だった。売上収益、事業利益、純利益とも過去最高で、売上収益は初の1兆円超。事業利益は、中期経営計画「YX2026」における2025年度の定量目標1,320億円を前倒しで達成した。「2024年度は、原材料価格の上昇や農機メーカーの大幅な減産など大変厳しい経営環境だったが、乗用車用タイヤを中心にほぼ全ての市場で増販を達成するなど、全ての項目で過去最高を達成した。事業利益率も12.3%で過去最高だった。消費財を中心とした既存タイヤ事業では、高付加価値商品戦略と販売本数増に努めた結果、事業利益率は14.0%となった。MB(マルチプル・ビジネス)事業も着実な収益改善ができた」(山石昌孝代表取締役会長兼CEO)。

 事業利益段階の増減要因は、増益要因が価格/MIXで106億円、販売量で89億円、為替差で79億円、Y-TWSで73億円、製造原価で40億円、MBで14億円、物流費等で8億円、YOHTで8億円、減益要因が原料価格で26億円、固定費で26億円、その他で13億円、差し引き353億円の増益。

 タイヤ事業は売上収益が9,808億9,600万円で同12.1%増、事業利益が1,271億5,700万円で同38.2%増。新車用タイヤの売上収益は、国内は同社納入車種の販売が好調、中国では中国系自動車メーカーへの新規納入数を拡大させたことで前期を上回った。市販用タイヤの売上収益は、国内での積極的な販売活動の効果や、海外では欧州におけるハイインチ品の大幅な増販、インドなどアジア地域における新規販路開拓のほか、円安も寄与し前期を上回った。OHT(オフハイウェイタイヤ)の売上収益は、農機メーカーの大幅な減産など厳しい環境の中、YOHT(旧ATG)が欧州、アジア、中東を中心に補修用市場向け販売を拡大したほか、2023年5月に買収したY-TWS(旧Trelleborg Wheel Systems Holding)の業績が通期で寄与したことで、前期を上回った。

 MB事業は売上収益が1,052億4,900万円で同3.3%増、事業利益が85億7,700万円で同19.9%増。ホース配管事業の売上収益は、アジアを中心に油圧ホース補用品の拡販を行ったものの、建設機械メーカー向けおよび北米における自動車メーカー向けなどでの需要低迷により減収。一方、工業資材事業の売上収益は、コンベヤベルト、海洋商品、航空部品の販売が好調に推移するとともに、拡販を支える増産投資、生産性改善などの供給力強化の効果等が寄与し、前年を大きく上回った。

 2025年12月期業績予想は、売上収益が1兆2,200億円で前期比11.4%増、事業利益が1,380億円で同2.7%増、純利益が815億円で同8.8%増。いずれも過去最高を見込む。

 事業利益段階の増減要因は、増益要因が販売量で77億円、製造原価で50億円、OHTで49億円、価格/MIXで47億円、MBで10億円、その他で19億円、減益要因が為替差で76億円、固定費で51億円、G-OTRで45億円、原料価格で24億円、物流費等で18億円、差し引き36億円の増益を見込む。

 事業別の通期予想は、タイヤ事業は売上収益が1兆1,090億円で同13.1%増、事業利益が1,279億円で同0.6%増、MB事業は売上収益が1,030億円で同2.1%減、事業利益が96億円で同11.9%増。「タイヤ事業は、買収したグッドイヤー社のOTR(鉱山・建設用車両向けタイヤ)事業の買収効果や既存タイヤ事業およびOHTの増販により、増収増益を見込む。グッドイヤー社のOTR事業の影響は、売上収益でプラス800億円、事業利益以下ではマイナス45億円を織り込んでいる」(結城正博取締役執行役員)。

 一方のMB事業は、油圧ホースは上期需要が厳しいとみているものの、値上げの刈り取りや販売強化で増収を、自動車向けホースは2024年下期からの北米での需要減が続く見通しで減収を見込み、ホース配管事業全体ではわずかながら減収となる見通しだ。一方、工業資材事業はコンベヤベルトが増収、海洋商品もマリンホースの旺盛な需要を見込み増収、航空部品は民需、官需とも厳しいとみている。

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