白耳義通信 第110回
2025年を振り返る 〜 ベルギー10大ニュース
連載 2025-12-18
鍵盤楽器奏者 末次 克史
2025年も、そろそろ終わりを迎えようとしています。今年最後の「ベルギー通信」では、この一年を、ベルギーで暮らす中で感じた出来事を手がかりにしながら、10 大ニュースという形で振り返ってみたいと思います。
1. 記録的な暑さと学校生活への影響
この夏のベルギーは、「涼しい国」というイメージからは少し離れたものでした。冷房のない教室での授業がつらくなり、午後の授業を取りやめる学校も見られました。日本ではすでに当たり前になっている暑さ対策が、こちらでは今まさに議論の途中にあります。
2. 入国手続きが変わるEUの新制度
空港でパスポートにスタンプが押されず、顔認証で入国する時代が近づいています。係員に質問する旅行者の姿も多く、旅の風景が少しずつ変わり始めていることを感じました。
3. 政治が進みにくいベルギーの現実
複数の地域と言語を持つベルギーでは、政治の話し合いに時間がかかります。その影響は、支援制度や公共サービスの遅れとして、私たちの生活にも静かに現れていました。
4. 世界の出来事が家計に届く
ウクライナ情勢は、ニュースの中だけの話ではありませんでした。食品や電気代の値上がりを通して、国際情勢が身近に感じられる一年だったように思います。
5. ダイヤモンドの街の変化
アントワープでは、合成ダイヤや国際情勢の話題が日常会話にのぼるようになりました。長く続いてきた伝統産業も、時代の変化の中にあります。
6. エネルギーをどう確保するか
脱原発を掲げながらも、現実的な判断を迫られる場面が続きました。毎月届く電気代の請求書は、国の方針が生活と直結していることを教えてくれます。
7. 住むことの負担が増える
修繕費や管理費の値上げにより、「住むこと」そのものが話題に上る機会が増えました。日本でも空き家問題が注目されていますが、こちらでは集合住宅をどう維持するかが大きなテーマになっています。
8. 多様な社会の中で感じる緊張
駅や街で警備を目にすることが増えました。多様性を大切にしてきた社会だからこそ、その難しさが日常の空気として感じられた一年だったのかもしれません。
9. 文化が戻ってきた街
音楽フェスやコンサートが再び開かれ、街には人の流れと活気が戻ってきました。長い間控えていた「集まること」の喜びを、多くの人が実感していたように思います。
10. 不安と共に続く日常
大きな事件がなくても、将来への漠然とした不安が、会話の中ににじむことがあります。そんな空気と共に、2025年は静かに過ぎていきました。
2026年のベルギーは、急に大きく変わるというより、少しずつ調整を続ける年になるのではないでしょうか。政治やエネルギー、社会の課題はいずれも簡単に答えが出るものではありません。それでもこの国は、時間をかけて話し合いを重ね、折り合いをつけながら前に進んできました。目立たなくても、日常を守ろうとするその姿勢が、ベルギーという国を支えているように感じられます。
【プロフィール】
末次 克史(すえつぐ かつふみ)
山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。
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