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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、景気対策期待と円安で堅調

連載 2025-07-21

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=320円台中盤まで値上がりし、5月28日以来の高値を更新した。トランプ米政権の通商政策がマーケット環境全体を不安定化させているが、ゴム相場に関してはじり高傾向が維持された。中国政府の景気刺激策に対する期待感が浮上していること、為替が円安に振れたことなどが好感されている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万4,000元台中盤まで値上がりし、5月23日以来の高値を更新した。

 中国経済指標は低調なものが目立ち、米中通商環境の不安定化が経済活動を抑制していることが確認されている。4~6月期国内総生産(GDP)は前年同期比5.2%増であり、1~3月期の5.4%増から伸びが鈍化している。また、6月鉱工業生産は前年同月比4.8%増(5月は前年同月比6.4%増)、鉱工業生産は6.8%増(同5.8%増)となっている。米中通商協議の再開もあって製造業部門に改善がみられたが、全体としては中国経済の減速傾向を再確認する内容と評価されている。

 しかし、マーケットでは経済活動の停滞とインフレの抑制を受けて、中国政府が景気対策を打ち出す可能性が高まったとの楽観的な評価が目立ち、ゴム相場は底固く推移した。原油や非鉄金属相場などの値動きは鈍かったが、鉄鉱石相場も約2カ月ぶりの高値を更新するなど、政策対応期待を織り込む動きが強化されている。

 通商環境に関しては、ベトナムに続いてインドネシアも米国と合意に至った。ただし、7月17日時点では日本、韓国、欧州連合(EU)、カナダ、メキシコなどとは協議が継続中であり、高いレベルの先行き不透明感が維持されている。8月1日付でトランプ政権が通知した関税が全て発動されると、自動車市場にも大きな混乱が生じる可能性がある。

 もっともマーケットでは、最終的にトランプ政権が発動できる関税の規模は多くないとの楽観ムードが強く、主要国の株式相場も先行き不透明感から上げ一服となっているが、積極的に通商リスクを織り込むような動きはみせていない。通商リスク評価を手掛かりとした積極的な売買は見送られている。

 中国南部や東南アジアでは、引き続き局地的な豪雨が報告されている。特にタイでは7月に入ってから洪水被害の発生が報告されている。ただし、産地相場は強弱まちまちの状態にあり、OSEゴム相場も当限に供給リスクのプレミアムを加算していくような動きは見送っている。供給サイドの動向は、あまり材料視されていない。一方、為替市場ではドル高・円安圧力が強くなっている。4月3日以来の円安環境は、円建てゴム相場にポジティブ。

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