【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、通商環境改善期待でじり高
連載 2025-05-12
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=300円水準までじり高の展開になった。通商環境の改善期待から投資家のリスク選好性が高まる中、大型連休を挟んで4月15日以来の高値を更新した。

上海ゴム先物相場は、1トン=1万4,000元台中盤から後半で小幅上昇している。
引き続き通商環境に対する関心が高いが、ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表が5月10~11日、訪問先のスイスで中国の何立峰副首相と会談することが明らかになった。4月に米中両国が関税の応酬を行って以来、両国の高官が協議するのは初めてになる。初回の会合で通商環境が一気に改善に向かう可能性はほとんど存在しないが、緊張緩和に繋がるきっかけになるのではないかとの期待感が、世界の株価を押し上げている。この流れでゴム相場も小幅上昇している。
トランプ米大統領が海外製作の映画、輸入医薬品に対する追加関税の方針を示すなど、通商環境の先行き不透明感は強い。このため、トランプ大統領の発言によって地合が一瞬にして悪化するリスクも抱えた状態にあるが、ゴム相場は底固さが目立った。
また、中国人民銀行(中央銀行)が5月7日、銀行の預金準備率を0.50%引き下げ、平均6.2%とすることを表明したこともポジティブ。流動性供給を強化することで、米中対立が激化する中で中国経済の成長を支援することになる。
一方、タイの農業協同組合省が、市況対策に動き始めたこともポジティブ。農家に対して、減産期明け後のタッピング(樹液採取)の開始時期を5月から6月まで1カ月遅らせることを要請している。一時的に供給量を抑制し、ゴム需給を引き締めることで、相場を下支えすることを目指す施策である。
あくまでも「命令」ではなく「要望」ベースだが、その間に生産性の向上とコスト削減を進めるための資金供給を実施することになる。2024年5月のタイの天然ゴム生産量は約30万トンであり、最大で同規模の供給制約が発生する可能性がある。タイ産RSSは1キロ=70バーツ台前半と、過去に市況対策が行われた50バーツ前後の価格水準を大きく上回っているが、現在はこの価格水準でもタイ政府が動くことが確認されたことには意外感が強い。
ただし、JPXゴム相場の5月限に対して供給リスクのプレミアムを加算していくような動きはみられなかった。産地相場は底固く推移しているが、もっぱら消費地相場と連動した値動きになっている。
原油相場は、石油輸出国機構(OPEC)プラスの大規模な供給増加計画で急落したが、ゴム相場に対する影響は限定的だった。
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