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連載コラム「白耳義通信」53

「集団と個人」

連載 2021-03-17

鍵盤楽器奏者 末次 克史
 まだまだ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連ニュースがトップを飾るベルギーです。先日行われたベルギー公衆衛生省による記者会見によると、ベルギーにおける新規感染者は一日あたり約2,400人。最も感染率が高いのは、2,30代となっているのが特徴です。日本でも見つかっている英国変異株が、感染の約60%を占めています。それからワクチン接種の状況ですが、85歳以上の高齢者のうち、約30%が第一回目のワクチン接種を、そのうち50%が第二回目のワクチン接種を受けている状況です。

 欧州の他の国を見てみると、チェコが第四波に直面していたり、ハンガリーやポーランドでは明らかな第三波を迎えています。またイタリア、フランスでは、感染者数が増加傾向にあるようです。

 そんな中、オランダのハーグ(Den Haag)で、政府のコロナ対策に反対するデモが行われました。デモだけならまだしも、暴動にまで発展したようです。これは何もオランダだけに限ったことではなく、ヨーロッパ各地で、このようなことが起こっています。

 現在のように外出が制限されている中でデモをすれば、大勢の人が集まることにより感染拡大が想定されるのは明らかなのに、個人の権利を求めて抗議行動をしてしまう。抗議行動をすれば、ただ騒ぎたいだけの人間も集まってくる。正に悪循環が待ち受けています。

 欧州で生活をしていて思うのは、先ず個人ありきということです。これは手紙の宛名や名刺のデザインにも現れているように、先ず名前がきて、その後に住所。名刺であれば、名前、役職、会社名、住所の順です。一番大切なのは個人であり、自分を大事にするからこそ、他人を思いやることができる。

 それに対し日本では、手紙や名刺の例を見ても明らかなように、先ず集団があって、そこに個人が所属している。出る杭は打たれるではないけれど、個人が突出するようなことは好まれない。

 個人的には、欧州で生活をしている方が楽なのですが、新型コロナウイルス感染症に対する人々の対応の仕方は、日本の考え方に軍配が上がるようにも思えます。行き過ぎた個人主義は、社会に問題を落としかねません。

 ただ、欧州のように「個人があっての集団」という考え方が優れているのか、日本のように「集団があるからこそ個人がある」考え方、どちらが良いと優劣をつけるのではなく、これからの時代、個人も集団もどちらも大事にしないと、これからも起こるであろうパンデミックに対応できないのではないでしょうか。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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