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連載コラム「白耳義通信」49

「五年目に突入」

連載 2020-10-16

鍵盤楽器奏者 末次 克史

 皆様、こんにちは。早いもので、この「白耳義通信」でベルギーの情報をお届けするのも5年目に入りました。そんな年の秋を、日本で迎えることになるとは夢にも思ってもいませんでしたが、ベルギーへ行ってから四半世紀振りに、キンモクセイの香りを嗅いだり、梨に栗にと、日本の秋の味覚を堪能しています。

 日本とベルギーを結ぶ直行便が11月末まで運休が決まった9月末から、ベルギーでは新型コロナウイルス(COVID-19)感染者数が一気に増加し始め、10月15日現在約5,500人という、4月初旬のピーク(約1600人)を軽く突破しました。病院では緊急を要する手術以外延期される程、医療従事者の数が足りない状況に陥っています。

 そんな最中、10月1日に新内閣が誕生。第71代目の首相にアレクサンドル・デ・クロー Alexander De Croo が就任しました。ベルギーの北フランダース地方からは10年振りの首相です。二代前の首相シャルル・ミッシェル Charles Michel が EU 大統領に選出されてから実に1年4ヶ月振りに、正式な政府が発足しました。その間、ベルギーで初の女性首相ソフィー・ウィルメス Sophie Wilmès が、暫定内閣をまとめていたわけです。

 北と南の言語対立がそのまま政府の構造に反映されるベルギーでは、簡単に組閣が決まることの方が珍しく、無政府状態が暫く続くこともしばしば。異常事態と言えますが、それでも国が存続し、普通に生活できるベルギーという国に、国民も慣れてしまった感があります。それとも呆れ果てたのでしょうか。

 新内閣は7党連立内閣。日本では何かと話題になる女性閣僚の数ですが、男女仲良く10人ずつ。副首相にトランスジェンダーの女性が選ばれたり、難民を父に持つ閣僚が選出されていますが、殊更この点が強調されることはなく、当たり前のように色々な人がいる社会の構図が組閣にみてとれます。

 新政府が船出して直ぐのこと、ベルギーに新王女が誕生しました。現国王フィリップ Philippe に御子息が誕生したわけではなく、国王にとっては異母兄弟にあたります。父上である前国王・アルベール二世 Albert II の隠し子が、認知を求めた裁判で勝訴した後、「王女」の称号を求める訴え起こし、認められることになったからです。

 王女の名前はデルフィーヌ Delphine。アーティストとして活動していますが、王女になったということは、ロイヤルファミリーの一員として、公的な活動をするのでしょうか。国民はどちらかというと、冷ややかな目でみているように感じます。今はコロナでそれどころではないといったところでしょうか。

 新内閣がいつまで持つのか、王家はこれからどのように国民と歩んでいくのか見守りつつ、5年目もどうぞ宜しくお願いします。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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