連載コラム「白耳義通信」43
「いつもと違う春」
連載 2020-04-15
本来であれば復活祭を祝う子供たちの賑やかな声、そして春休みに家族で海外へ行く人で賑わう空港の様子がテレビから流れてくるのですが、今年の春は連日のように新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のニュース一色に染まっているベルギーです。
新型コロナウイルスの新規感染者の数が徐々に減ってきているものの、今後もこれまでと同様の措置を取ることが極めて重要と、国家安全保障委員会から発表されています。とは言っても自宅待機が勧告され既に一ヶ月。天気が良かった12日の復活祭(春分後最初の満月のあとの日曜日)は、溜まりに溜まったストレス発散の為か、不要不急で無いにも関わらず街に繰り出す人も目立ちました。
ベルギーでクラスター(感染者集団)が発生したのは、2月のカーニバルと言われています。中国で新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がっていた時。人々はまだまだその恐ろしさに気がついていませんでした。天気が悪かったにも関わらず、春の到来を祝うお祭りに大勢の人が繰り出したことが、結果的に小さな国ベルギーでも、4000人余り(4月14日現在)の死亡者をだすことに繋がりました。
ただ、この時点でスペイン風邪を経験した親から、パンデミックの怖さを聞いた人(60代以上)の中には、注意を払っていた方もいたようです。つまり現在ウィルス感染拡大防止措置として取られている「大勢の人がいるところへ行かない」「人との距離を十分確保する」といったことを、既に実行していたという話も聞きます。
現在ベルギーでは、老人ホームでの感染が問題になっています。多くの感染者が報告されており、家に引き取りたいと願う人も多いのですが、例え陰性であっても、今家に引き取ることは問題も多く、また家が安全かといえばそうとも言い切れず、八方塞がりの状況です。
そんな中、お孫さんに会えないおじいちゃん、おばあちゃんが、インターネットの使い方を覚えて、家にある調理器具や掃除道具で人形を作り、テレビ電話で人形劇を見せているという話を聞くだけでも、出口の見えない現状に明かりを灯してくれます。
日本とベルギーを結ぶ直行便(全日空)も5月15日まで運休が延長されることになりました。新型コロナウイルスが収束しても問題が山積みだとは思いますが、来月こそは明るい話題を届けられることを願って。
【プロフィール】
末次 克史(すえつぐ かつふみ)
山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。
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