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連載コラム「白耳義通信」25

「統一地方選挙」

連載 2018-10-18

鍵盤楽器奏者 末次 克史

 段々と肌寒くなってきたと思ったら今週に入って最高気温20度台が続いているベルギーです。さて、先週の日曜日に統一地方選挙が行われました。今月はベルギーの選挙についてお話したいと思います。

 先ず在白外国人も希望すれば、今住んでいる自治体のみ投票することができます。今回は州選挙も併せて行われましたが、こちらには投票することができません。投票は朝8時から15時まで。小さな自治体では13時に終了するところもあり、ベルギーで一番早い開票速報が出るということで、テレビ局も中継していました。

 投票には ID カードと投票案内ハガキが必要です。受付で提出し、二人の係員によって本人確認が行われます。自治体によって違いますが、多くの自治体では電子投票を採用しています。電子投票端末へ入れるカードを受け取った後、タッチパネルで自分が投票する政党、若しくは立候補者を選択します。政党ではなく個人を選ぶ場合、政党を跨っての投票は認められていません。

 選択に間違いがないか確認した後、Qコードが記された投票用紙がプリントアウトされます。それを受付に持って行き、係員の前でQコードをスキャンし投票ボックスに入れるというのが一連の手順です。

 投票用紙を見ると、Qコードと共に選んだ政党と立候補者も印字されているのが分かります。これは万が一システムに問題が発生した時の為だと思われます。が、投票開始後、システムに障害が出た時はアナログで果たして対処できるのか、一抹の不安も残ります。

 それから選挙は18歳以上の成人に義務付けられており、特別な理由が無い限り(その場合は届け出が必要です)投票しないと罰金となります。場合によりますが、初回で5〜10ユーロ。二回目になると倍になると言われています。

 この度の統一地方選挙は、中道右派は勢力を保ったものの自由党と社会党が議席を落とした中で環境政党が議席を伸ばしたこと、それから極左政党が以前より多くの票を獲得した傾向が全国で見られました。欧州は移民問題を抱えているものの、地球温暖化などでエコロジーを第一に考える人が増えているのが今回の結果に現れているように思います。

 さて来年5月には国政選挙と欧州議会選挙が行われます。今回の結果がどのように影響するか注目です。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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