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電力使用量の把握を支援

SIRC、工事不要! 導入300社超! 電力を見える化するIoTセンサ

ラバーインダストリー New! 2026-06-29

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 気候変動の防止に向けた重点目標として政府が2050年の「カーボンニュートラル」を打ち出すなど、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出削減が企業に課せられている。その達成では、再生可能エネルギーへの転換に加えて、電力使用の効率化が欠かせない。こうした中、ゴム・素材関連をはじめとした産業界の支援に向けて、きめ細かな電力の “見える化” を設置簡単なIoTセンサで実現したのが、大阪市立大(現・大阪公立大)発のスタートアップ、SIRC(サーク)だ。すでに自動車部品メーカーなど300社超の企業が同社のセンサを導入するとともに、2024年度には一般財団法人省エネルギーセンター主催の省エネ大賞において「資源エネルギー庁長官賞」を受賞するなど、注目が高まっている。

最初の一歩を支援

 同社によると、製造現場では電力使用量が電気料金の請求書でしか把握できていないため「どの設備がどれだけ電力を使っているのか」などムダの詳細がわからず、改善に向けた一歩を踏み出せないケースが散見されるという。その理由にはノウハウや人材の不足、システム導入コストの問題、データ活用・管理体制の未整備、さらには「何から手を付けていいのかわからない」という声もあるという。

 これらの課題解決に向けて同社が開発したのが「SIRCクラウド」だ。自社開発した世界初の非接触式電力センサ「IoT電力センサユニット」で計測した電力使用量をはじめ、点在する現場データをクラウド上でリアルタイムに管理するもの。グラフや数値で分かりやすく整理・分析し、複数の設備や拠点間の状況を一元管理できるため、人手の負担を抑えながら電力使用量の効率化につながるサービスだ。
 その要が、IoT電力センサユニットだ。センサヘッドには、同社のコア技術「SIRCデバイス」が搭載されている。同デバイスは、5ミリメートル角サイズという超小型センサながら、電力、電流、角度の計測と周波数抽出という4つのマルチタスクをこなせる。同社創業者で大阪市立大名誉教授の辻本浩章氏が開発した。

IoT電力センサユニット

取り付け簡単でも高性能

 IoT電力センサの取り付けは工具が不要で、工場設備の電源配線2カ所にセンサヘッドをクランプするだけと、簡単な作業で済む。非接触式のため、電線を傷めることはない。
 IoT電力センサはリチウム電池で動作し、計測データを無線(Bluetooth)で送信するため、配線工事が一切不要だ。電池は約3年間持つ。取り付け時間は1カ所15秒ほどと短い時間で済み、稼働中の生産ラインを止めずに取り付けできる。こうした手軽さも、導入しやすさに繋がっている。2026年5月には、三相・単相の切り替えが可能で、計測間隔のバリエーションを拡充した新シリーズへリニューアルし、より幅広いニーズに対応できるよう進化させた。

 こうした手軽さを持つ一方で、電力をどれだけ有効に使えたのかを示す「力率」も計測可能なことが、既存の簡易型の電流計測機と一線を画すポイントになる。簡易型の場合、計測が電流のみのため、消費電力の把握が概算値となりがちだ。さらに、力率の計測には従来、装置の設置工事が必要だったり、複数個所にセンサをクランプしたりと手間があった。その設置工事の期間中は設備の稼働を停止せざるを得ないなど、ロスが生じてしまう。これに対しIoT電力センサは、電圧波形も検出できるため、力率を反映した精度の高い有効電力値の算出が可能になる。これを活かして設備単位で電力使用状況を正確に把握すれば、カーボンニュートラル対応を効果的に進めやすくなる。

 電力消費の見える化は、設備のメンテナンス時期の把握にも役立つ。例えばファンのフィルタが目詰まりした場合、低下した風量を補うためファンが強く回転し消費電力が増えてしまう。計測データをリアルタイムに見える化する「SIRCクラウド」では、あらかじめ設定したしきい値を超えた際にメール通知する「アラート機能」も搭載しており、こうした異常の兆候を早期に把握することで、的確なタイミングでメンテナンスができる。タイミングを逃し、無駄な電力を消費することを防げるということだ。

中小企業とも親和性

 カーボンニュートラルに向けては、IoT電力センサを工場の全設備に取り付け電力使用の一元管理体制を整えることが理想的といえる。ただ、予算に限りがある場合には、「特定の設備から設置を開始し、その状況をつかんでから次の設備に移設し、順番に省電力化の対策を打つことも可能」(SIRC)という。工事不要で簡単に取り付け・取り外しができる同センサならではの“裏技”だ。

取材に応じたSIRCソリューション事業本部
マーケティングセールス部長 出口智也氏


 このように、小規模な投資でカーボンニュートラルへの第一歩を踏み出せることは、同センサならではのメリットであり、中小企業との親和性も高いといえそうだ。自動車メーカーなどはカーボンニュートラルを目指し、サプライチェーン全体のカーボンフットプリント(二酸化炭素の排出状況)の把握に努めている。サプライヤーにも詳細な情報開示を求めることが確実な情勢だ。サプライヤーから見れば、排出状況を的確に提供できる体制づくりが今後のビジネス獲得で必須となるだろう。電力使用状況の把握はそのベースになりうる。こうした中、IoT電力センサをゴム・素材関連産業でどのように浸透させていくのか、同社の手腕が注目される。

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