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手に取りやすい価格を実現!包装資材に、新しい選択肢を

和光紙器、100%廃棄プラスチック使用 包装資材「ポリエコレン」

ラバーインダストリー New! 2026-06-22

「2週間限定無料公開」
本記事は月刊ラバーインダストリー6月号【創刊60周年記念特集】ゴム業界の持続可能性について考える①に掲載の記事です。

 2020年頃から、これまで使い捨てられていた廃棄物を資源として循環させて新たな価値を生み出す経済システム「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の実現に向けた動きが活発になってきた。こうした中、包装資材メーカーの和光紙器は、サーキュラーエコノミーを10年以上先取りして、原料に廃棄プラスチック(廃プラ)を100%使用した包装資材「ポリエコレン」を製品化した。このところは中東情勢の不安定化に伴い、ナフサをベースに生産される包装資材の供給不足が心配されているが、ナフサが不要な同社の廃プラ使用製品は安定生産を継続。さらに、同製品への問い合わせが通常時の約5倍に増えるなど、梱包資材の新たな選択肢として存在感が高まっている。

段ボールの資源循環がヒント

 和光紙器は1949年に創業、主に段ボールを使用した包装資材の生産・販売を展開していた。
 そのような同社が廃プラ再活用の検討に着手したのは2007年。本橋志郎代表取締役は「包装資材は“主役”ではないが、ものを守り、運び、届けるために欠かせない存在で、大量に使用されている。それだけに、いずれ環を目指すこととした。すでに段ボールで回収・リサイクルの経験があったので、廃プラも同じ仕組みでリサイクルできると考えた。日本は地下資源が乏しい国なので、資源問題への対応に貢献したいとの思いもあった」と、事業化のきっかけを語る。

 同社は、樹脂を使うものづくりは経験がなかったため、一から手探りでノウハウづくりを進めた。樹脂には射出成型用、押出成型用などの種類があるが、「それらを製造法に応じて使い分けることすら知らなかったため押出成型機に射出成型用樹脂を入れてしまい、ドロドロのものが出てきて慌てたことがあった」(本橋代表)と振り返る。
 手動で温度を調整する真空成型機でつぶさに状態を観察しながら、最適な製造法を突き詰めることも繰り返した。本橋代表は社員らに「機械が壊れても自分が責任を取る」と言いながらトライ&エラーを繰り返し、さまざまな製造法を検証した。

 その後、2009年には鈴鹿工場を立ち上げ、廃プラ再生包装資材の生産を開始した。現在、同工場に配置する7台の真空成型機のうち6台は自動調整式となったが、1台は手動式を残し、技術者教育に役立てているという。

取材に応じた和光紙器代表取締役 本橋志郎氏

コスト競争力の確保へ

 2009年の発売から2015年までの6年ほどは、需要開拓に苦労した。多様な製品から回収した廃プラをリサイクルするため、生産した製品ごとに色味が変わることが、顧客には受け入れにくかったとみている。当時は一部、材料用のペレットをリサイクル業者から仕入れていたこともあり、スペックや品質が同じでも、見た目が同じ製品を安定してつくることができなかった。ナフサから作られる“新品”よりも価格が割高だったことも、受け入れられない要因となった。

 環境にやさしいだけでは販売が難しいという現実に直面したことをバネに、同社はコスト改革に乗り出した。当初は、リサイクル材をグレードごとに分別せずに使用していたため、不良品発生率が30%にもなっていた。これを改め、グレード分けを徹底するとともに、ムダの改善に取り組んだ。鈴鹿工場に高性能・高精度なプレス機を導入し、作業の効率化とロス材削減を図った。
 こうして現在は不良率を1%にとどめ、コストは新品同等で販売可能なレベルを達成した。およそ10年間をかけて到達した。
 そして2019年には廃プラ包装資材に「ポリエコレン」という新名称を付けて、販売の再スタートを切った。

左からポリエコレン、ナフサ由来のプラ包装資材。
写真は灰色の製品だが、 ポリエコレンシリーズでは透明色もラインアップ


 「ナフサ由来の新品と同等のコストを実現できなければ製品化しないという決まりをつくった。その上で、社員参加型でさまざまなアイデアを出してもらい、コスト競争力の確保にこぎ着けた。新品同等のコストは、中東情勢が不安定になる前の比較だ。ポリエコレンは現在も価格改定を行わず販売している」と、現状ではナフサに依存していないことも強みの一つになった。

廃プラは“資産”として買い取り

ポリエコレンシリーズを通じたサーキュラーエコノミーの図。画像提供:和光紙器


 「ポリエコレン」シリーズに使用する廃プラは、自社・協力工場の製造工程から出た端材と、取引先などからの買い取りによって調達する。当初は廃プラの再生材を外部調達することもあったが、現在は鈴鹿工場に粉砕一体型ペレタイザーを導入し、回収材を自社でペレット化する体制を整えた。そしてポリエコレンのトレーや、緩衝材として利用された発泡材など、自社で販売し使用済みとなった製品を可能な限り買い取り、再び製品化するサーキュラーエコノミーを実現している。同時に、衛生用品パッケージフィルムの端材など廃材になりがちなものも購入するなど、廃プラの買い取り網を広げた。 

 
 「プラスチックはリサイクルしやすいので、捨てるのはもったいない。顧客の使用済み品は、無料で回収するのではなく、、資源として買い取っている。無料では、ゴムのように大切に扱ってもらえなくなる。お金を払うことで、廃プラも価値のある資源だと理解してもらえ、良質な原料の確保につながっている」とし、サーキュラーエコノミーの展開では、“廃プラの価値づくり”も重要だと強調した。

自社でペレット化した廃プラ原料


 現状では生産能力の2.5倍規模のリサイクル材を確保しており、原材料不足の心配はないとする。このところは医療関係など、新たな産業分野から廃プラ提供などの質問が寄せられている。
 一方、家庭で発生する廃プラは、用途不明で品質確認が難しいため、利用を見合わせている。

製品バリエーションを拡大

 現在、ポリエコレンは、複数の商品ラインナップを構築し、用途に応じて提案できる体制を整えた。
 3R(リデュース・リユース・リサイクル)を目指し最初に製品化した「ポリエコレン」のトレーは、素材にリサイクルLDPE(低密度ポリエチレン)を使用。輸送用トレーとして繰り返し使える耐久性と、強い力でおり曲げても元の形に戻る柔軟性、優れた輸送物の保護性能を持つ。
 「ポリエコレンPP(ポリプロピレン)」は厚み1ミリメートル以下のトレーに成型可能で、輸出向けなど回収が難しく使い捨てが想定される用途への対応を図った。トレーを重ねたときに下段トレーの製品の有無を確認しやすいクリアタイプや、永久帯電防止タイプもラインアップする。

 さらに厳選したPPを使用するなど品質感を高めた「ポリエコレンPPⅡ」、SDGs活動につながるよう卵の殻がベースのバイオマス材を10%以上混ぜて焼却時のCO2排出量を削減した「ポリエコレンBiomass」も商品化した。
 いずれも生産には太陽光発電とCO2フリー電力を使用している。これによりCO2排出量は生産段階がゼロ、輸送関連を含めても「90%以上削減できる」(同)と試算する。
 発泡材の買い取り・リサイクルでは、体積を70%減容する技術を開発し、輸送効率を高めた。

ナフサ由来を否定する製品ではない

 廃プラ100%を原料とするポリエコレンではあるが、本橋代表は「ナフサ由来の製品すべての代替が可能なものではない。あくまでも新しい選択肢の一つである。当社はナフサ由来の製品も扱っているので、廃プラ原料でもニーズを満たせる用途で広めていきたい」とし、ナフサ、廃プラそれぞれの長所を考慮しつつ、環境にも配慮して両方の資源を有効に使い分けるべきだとする。ポリエコレンのようなサーキュラーエコノミー製品の特徴が理解され利用が広まれば、ナフサをはじめとした原材料の消費にゆとりが生まれ、限りのある資源の適切な利用につながるともする。

 本橋代表は、「現在は今後の10年を見据えて新たな取り組みに着手した。廃プラに限らず、不要になったものから製品を生み出す領域を広げていきたい。さらに、サーキュラーエコノミーの法制化で先行する欧州を真似るのではなく、日本ならではの『もったいない』をベースにルールを作り、分別化することが文化的な価値創出につながると考えており、そうした制度の実現にも貢献していきたい」との抱負を語った。

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