【特集】進化する製造業
日本ゼオン、オープンイノベーションプラットフォーム「ZEON NEXT」を公開ーー既存技術の新たな可能性を探る
ラバーインダストリー 2026-03-18
「2週間限定無料公開」
日本ゼオンは既存技術の新たな可能性を探り、新事業として育てることを目的に、オープンイノベーションプラットフォームWEBサイト「ZEON NEXT」を開設した。運営を担当するのは「ZEON NEXT探索本部」。同本部は新規事業探索を担っており、日本ゼオンがこれまで磨き上げた技術の更なる可能性を日々探っている。
同サイト公開にあたっては、従来ブラックボックス化していた技術の公開に踏み切るなど、その取り組みは挑戦的だ。今回は、同サイトの開設を手掛けた志岐勇馬氏に話を聞いた。
日本ゼオンのチャレンジャー集団
日本ゼオンは2030年を最終年度とする中期経営計画の中で、全社戦略として「新規事業の探索」を掲げている。この、新規事業の探索を主に担当するのが、ZEON NEXT探索本部だ。
同部は、従来各事業部の配下にあった新規事業探索チームを1つの部署に集約させた、いわば日本ゼオンの“チャレンジャー集団”だ。同社が磨き上げてきた多様な技術について、一丸となって日々新たな可能性を探っている。

ZEON NEXT探索本部
ZEON NEXTガレージ 事業推進1グループ
志岐 勇馬 氏
専用サイトで共創希望者募る
新分野の開拓では、同社がこれまでアプローチしてきた業界とは全く別の業界へのアプローチが必要とされた。1から同社の強み、持っている技術などを知ってもらう必要があり、「ユーザーとの関係構築の難しさが事業部全体の課題となっていた」(志岐氏)。
そこで、開設されたのが「ZEON NEXT」と名を冠したオープンイノベーション専用のWEBサイトだ。ZEON NEXTでは、同社の持つ技術を可能な範囲で公開し、共創希望者を募っている。「他のオープンイノベーションとの大きな違いは、当社の困りごとをオープンにしていること。もちろん、社内でも当社の技術を新たに生かせそうな分野を日々探っているが、同サイトを通じて社外に技術を紹介することで、想定外の分野のユーザーから問い合わせていただける可能性がある。社内だけでは思いつかないような新分野の発見に繋がることを期待している」(同)

オープンイノベーションプラットフォーム「ZEON NEXT」のWEBサイトトップページ
技術の公開は勇気ある挑戦
同サイトの開設にあたり、議論に挙がったのが情報開示の度合いだ。ゴム製品はコンパウンドの配合で品質や性能、特性の差別化がされてきた。そのため、ゴム産業全体で、配合レシピや技術はブラックボックス化がされがちだ。よって、特性の付与に貢献する原材料を製造する同社においても、積極的な情報開示は控えられてきた。
こうした背景から、同プラットフォームでの情報開示についても「どの程度まで社外に開示して良いのか、ZEON NEXT探索本部はもちろん、社内関係部署にも協力を仰ぎ、調整にあたった」(同)。
想定外のニーズともマッチング
公開する情報の調整にあたって、素材が応用できそうな範囲を“狭めすぎない”ことも重要視した。同サイトでは素材の概略や基本性能、技術情報などと共に「想定される適用範囲」を記載し公開している。適用範囲を記載することは、ユーザーニーズと同社の技術の適切なマッチングに繋がる。
例えば、アパレル業界のユーザーが「衣服、新素材」と調べた結果、同サイトに辿り着くといった具合に、“同社技術が応用できる可能性があり、かつ想定外のニーズ”を持ったユーザーとのマッチングに寄与する。
使用が難しくなる既存品の代替などにチャンス
今後の課題点は、事業化のハードルが高いこと。同サイトに掲載中の素材はどれも新素材ではあるが、既存の技術を応用し開発したもの。よって、応用可能な分野も、大量生産に向く既存の分野に対し、ボリュームの確保がしづらいニッチな分野が多くなる。
「当社の強みは合成ゴムやプラスチックなどを大量生産するノウハウを持っていること。これを活かすためにも、一定数量の確保はキーポイントとなる。また、事業化するにあたっても、量産化につながるボリュームが確保できるかどうかは重要なポイントだ」(同)
コストも度外視できない。業界によって製造方法や材料の扱われ方は異なる。新しい活用方法では耐久性が不十分となるなど、想定外のトラブルへの対応コストが発生する場合もある。また、製品化に際し、新たな製造設備への投資が必要となる場合もあり、既存品との競争もシビアになる。「コストが上昇した分、品質など他の部分で戦う必要がでてくる。環境対応製品や、PFAS規制などで使用が難しくなる既製品の代替品などはチャンスがありそうだ」(同)
ポリマー以外の企業イメージも増やす
今後の展望について、志岐氏は「新しい材料で、新しいことに挑戦したい。当社と言えば合成ゴムをはじめとするポリマーの会社という印象を持たれるが、他の分野のイメージも増えていけば嬉しい。そのためには、多様な分野のユーザーと積極的に接触していく必要がある。募集案件を増やし、その機会を作っていきたい。
一方で、新しいことを始めると、その分衝突が生まれることもある。ただ、その先には喜んでくれるユーザーがいる。ユーザーのためにも、新しいことに取り組める枠組みを作るのが、私の仕事だと思っている。一方で、既存のユーザーのケアも欠かせない。両方しっかり取り組み、事業化後も適切な運用をしていきたい。
ZEON NEXT探索本部は多様な分野の新規事業担当が集まっているが、リーダーの地道な働きかけもあり、ここ1年半で縦横両方でつながりのある組織体制を確立してきた。異なる分野の人材が、その垣根を超えて互いの案件に意見し合う場面もあり、とにかく切磋琢磨でそれぞれの抱える案件を良くしていこうという気概がある。組織としてより良い方向に向かっていることは、案件に取り組むうえでも良い影響を与えるのではないか」と語った。

ZEON NEXTで公募中の案件
訪問者へのメッセージ
一緒に新しいことに取り組んでいきましょう。突拍子のない意見もいただけると楽しい。「本当にこんなことを聞いても良いのか」と思うような些細な事でも、ぜひオープンイノベーションプラットフォーム「ZEON NEXT」を通じて問い合わせてほしい。
現在、同サイトで公開中の素材は、液晶フィルム技術を応用した新素材や、応用可能な分野を模索中の単層カーボンナノチューブ(CNT)など、合成ゴムとは異なる素材が多い。ただ、当社の祖業である合成ゴムの高付加価値品化につながる案件があれば、ぜひ対応させていただきたい。実際にユーザーからそういった問い合わせをいただくこともある。
事業規模を問わず、 共に新しいことに取り組んでいきましょう。
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