【特集】ゴム企業とスポーツ
クリヤマジャパン、同じ目線を持つユーザーへ地球にやさしい人工芝を
ラバーインダストリー 2023-06-14
天然芝に比べメンテナンスが容易で、その費用も抑制できるロングパイル人工芝。サッカー等をはじめとする競技場や学校グラウンドを中心に2000年代から普及が進み、製造するメーカー各社は天然芝が持つ長所に近づける工夫を施してきた。クリヤマジャパン(大阪府大阪市)が、日本で販売代理店を務めるイタリア・モンド社の「モンドターフ」は耐久性など性能面のほか、地球環境にも配慮した人工芝。クリヤマジャパンが販売だけでなく、施工、メンテナンスまで手掛けている。 “地球と人に優しい会社”を目指す同社は同じ目線に立つユーザーに向けて拡販を目指している。
摩耗しにくく起毛性も高い
モンドターフは芝とバッキング(芝を縫い付ける基布)、砂とチップの充填材、安全面等を考慮し、オプションとして付属するアンダーパットで構成され、これら3つの要素それぞれに、モンド社の技術が落とし込まれている。
モンドターフは、ロングパイル人工芝の中でも肉厚の芝を採用している。芝の厚みは耐久性にも関係しており摩耗もしにくい。加えて芝1本1本に非対称の軸を入れる事で起毛性も高くなり、スパイクで踏まれ倒れた際の回復も早い。
全面透水のバッキングで排水性と充填剤の流出防止を両立
バッキングにはポリウレタンタイプと、不織布の全面透水タイプを採用している。一般的に、バッキングにはポリウレタンが使用されるが、その場合、下地への透水は一部に空けた穴からしか排水しない。一方、不織布は面全体から水が抜けるために排水性が高く、降雨後もグラウンドが使用可能となるまでの時間が早い。また、水が溜まりづらいことから充填材の流出も抑制できる。
充填剤には高比重の樹脂チップ「エコフィル」を採用
充填材には「エコフィル」という樹脂チップを採用している。ロングパイル人工芝では、タイヤの廃材などを砕いた黒ゴムチップを充填材として使用することが多いが、一般的な黒ゴムチップの比重は軽く、降雨時に流出する可能性がある。一方、エコフィルは高比重であるため、大雨が降っても流れにくい。「マイクロプラスチックによる海洋汚染対策は、人工芝業界にも求められており、雨で流れにくい点は強みの一つと言える」(クリヤマジャパン商品開発部 企画・開発グループ内田琢磨氏)。流出が少ないことはメンテナンス時に補充する量を抑えることにも繋がり、メンテナンスコストも軽減できる。万が一、口に入ったり、大雨で流出したとしても人体や環境への影響が非常に少なく、第3者機関の試験において確認している。この安全性が評価され、モンドターフは幼児施設での採用も非常に多い。
また、「エコフィル」は緑色などのアースカラーを採用しており、黒ゴムチップと比較して表面温度の高まりを大幅に抑制可能だ。低反発素材である事も加えて、プレイする選手の負担を軽減する事が出来る。
アンダーパットに透水・保水機能を併せ持つ「ファインチューンシステム」を採用
アンダーパットには透水・保水機能を兼ね備えた「ファインチューンシステム」を採用。優れた保水機能を持ち、グラウンドの温度が上昇した際には、その水分が蒸発し、気化熱によって温度を抑制する。クッション性にも優れるため、「ラグビー場など転倒時に頭部を激しく打つ可能性のある施設では、安全性への配慮からアンダーパットが多く採用されている」(同)。
施工方法でも地球環境に貢献
モンドターフは充填材が流出しにくいといった点だけでなく、施工方法によっても地球環境に貢献している。人工芝を張替える際には、既存グラウンドの充填材を新設グラウンドにリユースし、産業廃棄物を大幅に減らせる工法も提案している。
クリヤマジャパンではモンドターフの今後について、「人工芝へのメーカーの参入が多い中、現状維持では安定したシェアを確保する事は難しい。」と話す。
「SDGsに対応した既存のノウハウは活かしつつ、新しい製品開発にも継続的にチャレンジし、他製品との差別化を図っていく。地球環境に配慮した製品として、その点を重視する施設に採用していきたい。」(同)。
親会社であるクリヤマホールディングスの小貫成彦代表取締役CEOは『地球と人に優しい会社を目指している』と、かつてゴム報知新聞の取材で語っている。クリヤマジャパンは今後も地球と人に優しい会社を軸に、拡販に注力していく。
(ラバーインダストリー2023年5月号に掲載)
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