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ランクセス、高性能プラスチックの グローバル製造ネットワークを拡充

11月30日

ランクセスは、中国の常州浜江経済開発区の化学工業区画に高性能プラスチックを製造する新工場を建設する


・成長市場である中国において製造能力を拡大
・常州拠点の新工場に約2,000万ユーロを投資
・2019年第2四半期に稼働開始予定

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス(LANXESS)は、成長市場である中国においてプレゼンスを強化するため、約2,000万ユーロを投資し、中国の常州拠点に高性能プラスチックを製造する新工場を建設すると発表しました。このコンパウンド工場は、年間で最大25,000トンを製造することができ、2019年第2四半期より自動車分野および電気・電子業界向けの高性能プラスチック「デュレタン®(Durethan®)」と「ポカン®(Pocan®)」の製造を開始します。

 ランクセスは、すでに中国の無錫拠点で高性能プラスチックの工場を稼働しています。ランクセスのCEOであるマティアス・ツァハトは、上海で行った記者会見で次のように述べています。「中国は世界最大の自動車市場であり、電気自動車を牽引する市場となっています。ランクセスは、この重要な地域での成長をサポートし、高性能プラスチック分野におけるランクセスのプレゼンスを強化したいと考えています」

 調査によると、2017年の世界の自動車販売台数は約8,500万台で、その内約4分の1が中国で販売されるとされています。2025年には中国で販売される台数の全体に占める割合は、3分の1に拡大される見通しです。中国の電気・電子業界も多大な潜在性を秘めており、ランクセスは、2021年までの年間成長率を約9%と予想しています。

 ランクセスのハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットの責任者であるマイケル・ゾベルは、次のように述べています。「加えて、ランクセスは新製造拠点によって、自社のコンパウンド工場のグローバル製造ネットワークを拡充し、今後も一貫して、高付加価値プラスチックのポートフォリオに注力します」

常州拠点を強化
 ランクセスは、この投資によって常州拠点の大幅な強化を図ります。ランクセスは、常州浜江経済開発区の化学工業区画においてすでに皮革用化学品および合成ゴムの製造工場を有し、現在約350名の従業員が働いています高性能プラスチック向けの新工場によって新たに約35名の雇用創出を見込んでいます。

新世代モビリティ向けの軽量化ソリューション
 自動車産業は、ランクセスの高性能プラスチックにとって最も重要な分野です。自動車の金属部品に代わるコンポーネント構造は、革新的な素材によって可能となり、その結果、重量、燃費、排出が削減されます。例えば、ランクセスのプラスチックは、エンジンの機能部品、ドアの構造部品、ブレーキペダル、フロントエンド、コックピットのクロスメンバーなどに使用されています。部品にもよりますが、軽量化構造によって最大50%の重量削減が可能となります。

 ランクセスのプラスチックは、ハイブリッド車および電気自動車において幅広い用途があり、例えば、充電システム用部品、バッテリーシステム用のキャリアおよびセルホルダー、電気モーター用のセンサーおよびハウジング部品などがあります。その一部はすでに大量生産の実績を有しています。これらの素材は、電気自動車インフラにおいても大きな可能性を秘めており、例えば、EV充電ステーション用のハウジング部品、スイッチ、端子クリップなどの用途があります。また、自動運転の分野においては、ポリアミドおよびポリエステルは、センサー、ディスプレイおよび制御ユニットのコネクターなどに最適です。

グローバル製造ネットワーク
 ハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットは、下記の拠点でグローバル製造ネットワークを運営しています。
ドルマーゲン(研究開発)、クレフェルト・ユルディンゲン(PA6の重合、コンパウンディング)、ハッム・ユントロプ(PBTの重合、コンパウンディング)、ブリロン(「テペックス®(Tepex®)」の製造および開発)、アントワープ・ベルギー(PA6の重合)、無錫・中国(コンパウンディング)、ジャガディア・インド(コンパウンディング)、ガストニア・米国(コンパウンディング)、ポルト・フェリース・ブラジル(コンパウンディング)

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