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常温・常圧で安全に輸送可能

東大、アイシンなど水素の高効率エネルギーシステムを実証

その他 New! 2026-06-03

 東京大学先端科学技術研究センター河野研究室は、エネルギー関連新興のARM Technologies、アイシンと共同で「グリーン水素を独自開発の液体に貯蔵し、常温常圧で安全に運んで利用する新たなエネルギーシステム」の実証試験に成功したと発表した。

水素を液体に常温・常圧で貯蔵


 今回の実証では、太陽光発電で生成したグリーン水素を、 ARMが開発した液状水素キャリアに充填し、都市間を輸送した後に電力として利用するまで、一連のプロセスを検証した。ARMの水素製造貯蔵システム/発電システムを基に、アイシンが実証全体の企画・推進を担い、東京大学がフィールド試験を行った。

 今回の実証のポイントは、まず水素を「液体燃料(エネルギー媒体)」として扱う新概念を具体的に示したことにある。水素は従来、「高圧ガス」や「極低温液体」の状態で扱う必要があっつた。しかし、今回活用した水素キャリアは①常温常圧で液体状態②水系で不燃性③高圧ガス・危険物・劇物に該当しない―という特性を持つ安全な「液状水素キャリア」として取り扱いが可能。これにより、実証試験では簡易なポリプロピレン容器に貯蔵し、トートバッグに入れて人的運搬が行えた。

 発電については高効率化を確認した。アンモニアやMCH(メチルシクロヘキサン)のような水素を安定した化学物質に変換して運搬する方法では、キャリア変換、脱水素にエネルギーが必要となるため、水素製造から発電までの電力効率は20~30%程度と低率だった。

 これに対し今回の液状水素キャリアは⑤太陽光発電からの電力で電解製造したグリーン水素を液状水素キャリアに直接貯蔵可能⑥液状水素キャリアから電力の取り出しが独自開発の発電システムに注入するだけで常温のまま直接発電が可能―という新たなエネルギーシステムの開発によって、電力効率を64%に高めた。

変換時の電力効率を向上


 これらの成果を活用して、グリーン水素の製造・貯蔵から輸送、発電までの一貫した流れを完全に実証した。神奈川県相模原市のARMで太陽光発電によるグリーン水素製造と同時に液状水素キャリアへの充填を行った後、東京都目黒区の東大先端科学技術研究センターまで約35キロメートルの区間を簡易なポリプロピレン容器で輸送し、同センターで発電電力を利用した。

水素の容器をトートバッグで運んだ


 常温・常圧でのグリーン水素の長期貯蔵・輸送を可能にする今回の新技術は、カーボンニュートラルの実現に向けた大きなブレイクスルーと位置付けられる。この技術を通じて、太陽光や風力といったグリーン電力の更なる導入が後押しされるとともに、天候に左右されやすい再生可能エネルギー設備の利用率向上に大きく寄与することが注目される。同研究室は「災害時の自立型エネルギー供給や、エネルギー安全保障の強化、さらには将来的な水素エネルギーサプライチェーンへの道を拓く革新的な技術として期待できる」という。

 今後の実用化では、太陽光や風力等で発電した再エネ電力をグリーン水素に変換し「常温・常圧での液体」として安全に貯蔵・輸送する仕組みの確立、電気自動車(BEV)への次世代エネルギー供給モデルの展開、モバイルバッテリーなどの小型デバイスへの応用を目指していく。

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