京都、横浜に次いで国内3回目
ISO/TC45の第72回国際会議、10月に奈良で開催
その他 2024-09-09
ゴムおよびゴム製品(TC45)に係わるISO規格であるISO/TC45の第72回国際会議が、10月21~25日に奈良県コンベンションセンター(奈良県奈良市)で開催される。ISO/TC45の国際会議が日本で開かれるのは2002年の京都、2011年の横浜に次いで3回目。およそ20カ国の参加が見込まれている。
ISO/TC45やJISの審議、国際会議への参加を担っているのが、日本ゴム工業会内の組織であるISO/TC45国内審議委員会だ。日本がISO/TC45国際会議に初参加した1994年9月以降、毎回出席し、①日本の戦略に基づいた規格を新規に提案して国際規格を発行する②JISをISOに反映する③他国の提案内容を注視して日本のゴム産業界への影響を予測して対策を講じる――ことに尽力してきた。過去10年に発効された規格数の約3割は、日本がプロジェクトリーダーを務めた案件となっており、ISO/TC45において、日本の存在感は大きい。
日本のゴム産業界にとって役立つ規格作りのためには、「新規テーマを探索し、それを規格化していく必要がある」(ISO/TC45国内審議委員会)という。例えば、ゴム加硫物のバイオベース度の求め方や免震ゴムの高機能JISのISO化などは日本が提案し、規格化したものだ。
また、他国の提案内容を注視して日本のゴム産業界への影響を予測して対策を講じることも非常に重要となる。一例として挙げられるのが、過去に中国が行った合成ゴムのネーミング方法についての提案。使用している触媒や工程を番号にしてグレード名に入れ込むというもので、それによって日本や先進国と中国の合成ゴムに性能差がないように見せることが中国の狙いにはあるようだ。「試験方法やネーミングによって括り、既存市場を自分たちの有利な方向へ動かそうとする提案を阻止していくことは、国際会議に参加する重要な役割の一つだ」(同)。
一方で、ISO化はチャンスでもあるという。企業規模に関わらず、持っている得意技術や製品をISO化することで、世界的に知られるようになり、販売量が増えた例もある。測定方法などをISO化することで、製品や材料に様々な側面を加えることができる。それが結果として、材料や製品の持つ高機能性をアピールすることに繋がるためだ。
ISO/TC45国内審議委員会は競争力強化に尽力
ISOにはTC(専門委員会)がおよそ270あり、その幹事国を最も務めているのが中国だ。日本が幹事国を務める数は中国、ドイツ、フランス、イギリス、米国に次いで6番目。新たなTCの幹事国は中国が務めることが多い。「中国は国際会議に出席する人材も多様で、TC45に関しても近い将来台頭してくると思う」(同)。
TC45において日本のプレゼンスは依然高い。ただ、国内外で開かれるISO/TC45の会議に参加する人材は固定化してきており、ISO/TC45国内審議委員会としても課題として捉えている。世代交代が進まなければ、国際会議における重要なポジションを他国にどんどん奪われる懸念があるためで、ひいては日本がこれまで有利に進めていた市場さえも奪われていきかねないためだ。EV向けなどに新しい規格が出てくる可能性が高い中、他国に主導権を取られると日本としては非常に厳しい立場に立たされることになるという。
ISO/TC45国内審議委員会は、グローバル市場で日本のゴム産業の競争力を強化するための規格作りを目指し活動している。「規格がどのように活用されているのか、同委員会の活動がどう理解され、評価されているのかといったフィードバックが欲しい。企業が規格に対し戦略を持ち、新たな規格を作りたいと言ってもらえると、大変助かる」(同)。