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利用者の育成と産業利用成果の最大化を目指す

「量子ビーム分析アライアンス」が結成

その他 2021-10-14

J-PARC MLFのビームラインBL16を使って6月に開催された共同研究・共同研修の模様


 産業界における量子ビーム利用者の育成と多種の量子ビームを用いた産業利用成果の最大化を目指した産業施設連携組織「量子ビーム分析アライアンス」(代表:竹中幹人京都大学化学研究所・教授)が結成された。京都大学研究者を中心とした学術研究者、住友ゴム工業、TOYO TIRE、JSR、日本ゼオンなど高分子・ソフトマター業界を中心とした産業界15企業、大型の量子ビーム施設の三者が連携した。

 量子ビームは電子、中性子、陽子、光子などの粒子と波の性質をあわせ持った量子が細く、平行に真っすぐ揃うビーム状の流れ。原子や分子のスケールで、物質の構造や機能の観察、微細なスケールでの材料の加工、病気の治療などに使われている。

 「量子ビーム分析アライアンス」では、大型放射光施設「SPring-8」における京都大学専用ビームライン「BL28XU」、大強度陽子加速器施設物質・生命科学実験施設「J-PARC MLF」、研究用原子炉「JRR-3」等の量子ビーム施設で、人材育成のための基礎科学に基づいた実地教育および産業界の共通課題解決のための量子ビーム利用技術の高度化の推進を行うことによって、量子ビームを用いたイノベーションの創出を目指す。また、産学連携施設連携を強力に推進するため、結成2年目に当たる2022年度には、「量子ビーム分析アライアンス」による寄附研究部門「量子ビーム研究部門」(仮)を京都大学に創設することを計画している。

 「量子ビーム分析アライアンス」は、活動を展開するために総合科学研究機構(CROSS) 新事業展開部に事務局を置き、複数の施設をまたいだ活動を円滑に進めていく。2021年度は、フィージビリティ期間としてすでに J-PARC MLFにおける中性子反射率測定の共同実験および技術研修を実施しており、参加企業メンバーの量子ビーム利用技術習得を目指した活動を行った。オンライン授業の配信も開始している。

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