景況アンケート(254社が回答)
2017年の景気見通し、「横ばい」が6割占める
その他 2017-01-05
ゴム報知新聞では、12月中旬にゴム製造業とゴム工業用品卸商社を対象に、2017年の景気見通しと足元の景気の現状についてアンケート調査を実施した。それによると2017年の景気見通しは「横ばい」との回答が6割を占めた。国内・海外とも景気の先行きに不透明感が増しているなか、「横ばい」という判断が大勢を占めたようだ。
今回のアンケートは製造業98社、商社156社、合計254社から回答を得た。設問は「17年の景気見通し」と「(半年前と比べて)景気の現状をどう見ているか」の2点。
『景気見通し』については、「横ばい」との回答が製造業(58.2%)、卸商社(56.4%)とも最も多かった。次いで多かったのが「若干上昇」で製造業、卸商社とも22.4%だった。一方「若干下降」は、製造業が13.3%だったのに対し卸商社は17.9%。卸商社の方が先行きをより厳しく見ていることが分かる。
国内は設備投資や個人消費が伸び悩み、景気低迷が継続している。海外は中国や新興国の成長鈍化に加え、トランプ氏の米国大統領就任や英国のEU離脱など先行きの不透明感が増している。こうした背景から、製造業、卸商社ともトップの景気見通しは慎重になっているようだ。
2017年の見通しについて、ゴム報知新聞が実施した新年インタビューから、各社トップの発言を引用すると、「国内・海外とも経済成長は力強さを欠き、タイヤ、スポーツ、産業品いずれの事業も競合他社との競争激化が見込まれるなど事業環境の厳しさが増す」(住友ゴム工業・池田育嗣社長)、「日本のマーケットは決して良くはない。これまでは原材料価格が低位安定していたので、何とか利益が出ていたが、これが来期以降も続くとは考えられない」(オカモト・岡本良幸社長)など、先行きを憂慮するコメントが目立った。
また、「(トランプ氏の大統領就任は)直近でみるとプラスに働くのではないかと思う。国際関係や貿易の面は中長期的にどのような政策を打ち出すのか注視している」(ブリヂストン・津谷正明CEO)、「OPECの減産合意により原油価格は、シェールオイルの採算ベースを勘案して、1バレル当たり50-60ドル程度に上昇するのではないか。原油価格の上昇によるナフサ由来の原材料価格高騰が懸念材料」(バンドー化学・吉井満隆社長)など、原油価格の動向やトランプ次期米国大統領の政治・経済政策による影響を慎重に見極める姿勢が目立った。
「17年は米国よりも欧州の不安定さがカギになってくると思う。いわゆる『政高経低』で、政治が世の中を振り回している」(JSR・小柴満信社長)と、欧州でのテロ頻発や英国のEU離脱を懸念するトップも多かった。
また、為替変動により業績が左右された反省から、「為替ヘッジを徹底しなければならない」(鬼怒川ゴム工業・関山定男社長)、「外部要因で業績が左右されないような企業体質を目指す」(三ツ星ベルト・垣内一社長)という発言も多かった。
『景気の現状』については、「横ばい」が製造業で60.2%、卸商社で59.6%と、ともに6割を占めた。「まずまず」は製造業が20.4%、卸商社が15.4%、「やや低迷」は製造業が17.3%、卸商社が21.2%だった。現状認識は製造業の方が、卸商社よりも明るいようだ。
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