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宮坂ゴムと共同開発、特許出願中

922研究所、機能性ゴム材料「e-NBR」にラインアップを追加

原材料 2023-10-16

 922研究所(茨城県古河市、代表:宝福裕司氏)は、水素化ニトリルゴム(H-NBR)相当の引張強度を有する機能性ゴム材料「e-NBR」(商標登録済)に新機能を付与すると共に、「e-NBRX」、「e-NBRY」、「e-NBRZ」を新たにラインアップに加えた。

 e-NBRは、宝福氏が産栄ゴム工業に技術者として在籍していた頃から開発を手掛けてきた機能性ゴム材料。H-NBR相当の引張強度20.0MPaを有し、H-NBRより安価を実現したNBR材料だ。e-NBRの物性に注目した宮坂ゴム(長野県茅野市、宮坂孝雄社長)が同材料の耐オゾン性試験を温度40度・オゾン濃度100pphm(1ppm)・静的伸長20%の条件下で行ったところ、3,560時間(約5カ月間)き裂が発生しないことを確認したという。

 e-NBRの新たなラインアップは、宮坂ゴムの持つカーボンマイクロコイル(CMC)技術と922研究所の持つ配合技術を持ち合わせて共同開発した。宮坂ゴムは、コイル径がマイクロメートルオーダーのらせん構造の炭素繊維であるCMCを特殊な方法でゴムに混ぜる技術を有しており、同技術を応用した製品を開発・製造している。

 ラインアップしたのは、従来品の圧縮永久歪みと成型性を改良した「e-NBR」、INJ用に改良した「e-NBRX」、補強剤を使用せず食品衛生法に適合した半透明ゴムによりシリコーンカラーでの色付けを可能にした「e-NBRY」、e-NBRとe-NBRYを混合した「e-NBRZ」。

 いずれも硬度70度品の耐油性では、O-ring規格B2401および工業用パッキン規格BⅡ相当を有しており、耐オゾン性については、動的伸長20%・温度40度・オゾン濃度100pphm(1ppm)の条件下で1,000時間試験したところ、き裂が発生しないことを確認したという。条件を動的伸長80%・オゾン濃度200pphm(2ppm)に変えて1,000時間試験を続けて行ったところ、e-NBRとe-NBRXは400時間前後でチャック締め部から物理的に破断したものの、き裂は発生しなかった。一方、e-NBRYについては、物理的破断はなく、1,000時間でき裂が発生しないことが確認されたとしている。

 922研究所によると、これらの耐オゾン性試験結果により、試験した全ての材料が屋外試験で100年以上き裂が発生しないことが確認できたという。これにより、O-ringなどで耐オゾン性を確保するためのグリ-ス塗布をする工程が必要なくなるとしている。

 922研究所と宮坂ゴムでは今後、オゾン対策を必要とする空気圧機器、クリーンルーム、食品衛生、その他機器用途向けに同材料の拡販を進めていく方針だ。なお、新たにラインアップした材料は、宮坂ゴムと共同で特許出願している。

 諏訪圏工業メッセに出展

 宮坂ゴムは10月19~21日、岡谷市民総合体育館(長野県岡谷市)およびテクノプラザおかや(同)で開催される「諏訪圏工業メッセ」に出展する。同社ブース(ブース番:174)では、自動車用ゴム製品、樹脂部品、床暖房、アルマイト製品、一般医療機器の自社製品などと合わせ、e-NBRシリーズを紹介する。

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