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グループの脱炭素を達成目指す

三井化学、「大阪工場カーボンニュートラル構想」の具現化を開始

原材料 2023-06-01

 三井化学は、三井化学グループの脱炭素を達成するため、同社主力工場の一つである大阪工場 (大阪府高石市)をモデルに2030年近傍に実装可能な技術をパッケージ化した「大阪工場カーボンニュートラル構想」を策定した。今後、具現化を進めていく。

大阪工場全景


 大阪工場カーボンニュートラル構想とは、①ナフサクラッカーの燃料転換=分解炉にてナフサを約850度で熱分解する際の燃料を、現状のメタンからクリーンアンモニアに転換し、分解炉から排出する CO2を削減。分解炉は複数基あり、全ての分解炉の燃料転換を行えば、CO2約70万トンが削減される見込み。

カーボンニュートラル構想イメージ図


 当該分解炉のアンモニア燃料化は、グリーンイノベーション基金によるNEDO研究開発案件として、2030年実装 を目標に、丸善石油化学、東洋エンジニアリング、双日マシナリーとの4社で共同開発を行っている。

 ②ナフサクラッカーの原料転換=現在、化学品の原料として使用している化石由来ナフサをバイオマス原料(バイオマスナフサなど)や廃プラ油化に転換。これによりバイオマス化学品を製造すると共に、工場で排出するCO2:20 万トンに対しマスバランス方式でバイオマス由来特性を割当て、さらにCO2排出をキャンセルすることを検討する。

 ③CO2の利活用・貯蔵=(1)ナフサクラッカーで生産する副生ガス・オイルは、用役プラント他で有効活用しているが、その際に排出されるCO2:70万トンを回収装置と液化装置にて、液化CO2 に変換する(2)液化CO2の一部を、コンビナート連携により利活用することを検討する(CCU)(3)液化CO2の一部を、コンビナート連携により大規模化を図りながら、地中に貯留・圧入することを検討する(CCS)。

 同社は構想推進のため、原燃料転換、CCU、CCSに関して、堺・泉北臨海コンビナートの他社と連携を目指す。また、構想実現には大規模な設備投資が必要であり、適切なナフサクラッカーの生産能力、投資回収見通しなどを見極め、検討を進めていく。

 ■三井化学大阪工場:堺・泉北臨海コンビナートに位置し、ナフサクラッカーで製造するオレフィンやアロマティクスを原料に、ポリプロピレンやフェノールなどの誘導品を生産する当社主力大型工場。現在Scope1と2を合わせて約160万トンのCO2を排出している。

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