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従来の透明性、耐候性、成形性は維持

クラレ、耐熱性を15度向上したメタクリル樹脂を開発

原材料 2018-11-20

 クラレは11月12日、従来品より耐熱性を約15度向上させた高耐熱性メタクリル樹脂「パラペットSP」を開発したと発表した。

 メタクリル樹脂(PMMA)は、透明性、耐候性に優れるという特徴を有し、自動車、液晶ディスプレイ部材、建築材料、雑貨など幅広い分野で使用されている。同社では原料モノマーであるメタクリル酸メチル(MMA)からPMMAを生産、さらにシートやフィルムまで一貫生産を行っている。多様な重合技術、成形加工技術などの同社独自技術を活用した差異化ポリマー製品を展開しており、特に光学用高機能グレードや軟質グレードなどで高いシェアを有している。

 近年、PMMAにおいても、透明性、耐候性、成形性に加えて、耐熱性の向上も求められており、同社はPMMA本来の物性を保持したまま高い耐熱性を有したPMMA「パラペットSP」の開発に成功、このたび本格的にサンプルワークを開始する。

 PMMAの耐熱性を高める手法として、耐熱性の高いモノマーの共重合やポリマー鎖に環状構造を導入することが一般的に行われているが、このような手法で得られる耐熱性PMMA は、剛直性が高くなり、脆く割れやすいという課題がある。同社ではこの課題を解決するため、PMMAの高次構造に着目し、これを制御する重合技術を開発し、工業化することに成功した。

 同社が開発した「パラペット SP」は、PMMA が本来有する力学物性、光学特性、耐候性を保持したまま、一般的なPMMA と比較して約15度高い、約130度のガラス転移温度を有する。また、製造方法に由来して、表面硬度の向上効果も確認されている。さらに、他の一部樹脂との相溶性についても良好な傾向が確認されており、発色性改善などの樹脂改質剤としての効果も期待される。

 用途としては、高い耐熱性能が要求される、自動車用途や光学用途、他樹脂とのブレンドによる樹脂改質剤、各種フィルム原料、表面コーティング剤などがある。

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