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多能技術者が効率よく高品質に

【工場探訪】吾嬬ゴム工業本社工場、耐震継手等土木製品主体に生産

工業用品 2017-06-07

本社工場正面

最新鋭の800トン真空成型プレス

プレス機が整然と並ぶ成型棟

マンホールを模した耐水圧試験装置


 吾嬬ゴム工業(群馬県藤岡市、石田徹社長)は、1982(昭和57)年7月19日設立の工業用ゴム製品メーカー。創業以来、顧客の要求品質以上の製品提供を目指し、研究開発を推進している。同社は現在、自社開発のマンホール用耐震継手「AZラバージョイント」などの土木分野向け製品主体に一般工業、建築、車両、道路、電力など幅広い分野に向け、プレス成型品、押出成型品、ゴム板加工品、スポンジ板加工品など多様な自社製品を製造販売している。さらに高度な技術開発力が評価され、各社のOEM製品も製造している。

 この「AZラバージョイント」の優秀性が地元群馬県からも高い評価を得ており、県が高品質、高性能な製品を展開している企業を選定する『ぐんまの優れたものづくり企業』に、平成16年度に認定されている。

 これらゴム製品に加え、金属関連分野など一層の事業領域拡大を目指し、2016(平成28)年3月には太陽光パネル支持架台など金属加工主体に展開している日創プロニティ(福岡市)と経営統合を行い、同グループの一員として『「加工価値」の創造』をキーワードに、新たなスタートを切った。この経営統合効果や同社製品の高品質製品が高い評価を得て、平成28年6月期の売上高は約13億5,000万円で前期比微増と増加傾向にある。

 吾嬬ゴム工業の代表的な製品の「AZラバージョイント」は、耐震性や止水性に優れた下水道マンホール継手で、1997(同9)年に発売を開始し、2004(同16)年に建設技術審査証明書を取得した。同製品にはリブ管用と塩ビ管用があり、AZラバージョイント単体でリブ管を接続することが可能など、施工性にも優れている。

 このAZラバージョイントのシリーズとして「AZラバージョイント中口径シリーズ」、より大口径の「TTJシリーズ」、耐震性能が耐震基準レベルⅡに適合した耐震・可とう継手の「AZ-Ⅱジョイント」などを展開している。

 同社製品は、群馬県藤岡市の本社工場で生産されている。同工場は精練工程から試験、押出及び成型、検査まで一貫体制を構築している。工場建屋は精練棟、押出棟、成型棟主体に配置され、効率よく生産が可能なようにライン構築されている。設備も充実しており精練工程では50・75リットル加圧ニーダー及び300リットルオープンニーダー、16・22インチロールなど、成型工程では100・200・350・500トン真空成型プレスを始め150・170・200・350・500・600・1,300トン成型プレス、100トンスワンネック型ジョイントプレスなどを有している。さらに押出工程には75・90・120ミリ押出成型機のほか直径1・3・5メートル縦型加硫釜などを設置した万全な生産ラインを構築している。

 なお同社では、より大型製品にも対応可能なように、他社ではあまり導入例が無い800トン3面分解式真空成型プレス(ショージ製)を最近導入し、設備の強化充実を図った。

 さらに各種試験機を駆使した、万全の品質保証体制を完備している。この試験機の中には、ラバージョイントの止水性や耐震性などの評価用として、国内で設置例が少ないマンホールを模した耐水圧試験装置も、工場内に配置している。

 同社の特徴は、これら充実した設備面だけではなく、「作業者は製品生産から仕上げ、さらに検品までの一連の工程を一人で行える技能を習得した多能技術者として、日々作業に当たっている。検品は重量まで計測するなど手間は掛かるが、工程ごとに言わば完成品として次工程に製品を送ることができるため、次工程での手間が省け効率よく生産ができる。しかも製品ごとに責任をもって生産していることで、2003(同15)年に取得したISO9001認証に則った、高品質の維持にも繋がっている」(末富重夫取締役製造部長)ことにある。

 さらに「生産設備機器に関してもそのまま使用するのではなく、例えば成型機を複数台連携させユニットを構成しているほか、一部成型機のストローク回数をあえて1ストロークにし金型ユニットを縦で使用するなど、使い勝手の良いように工夫している。この様に当社は、小型機を複数台連携させた自動化ラインで個数を稼ぐのではなく、時間などは掛かるが一製品ごとに丹念に生産している」(同)という。

 同社では今後もキーワードの「加工価値」の創造に基づき、顧客から必要とされるものつくりを通して、社会に貢献していく方針でいる。

 吾嬬ゴム工業◇本社工場=〒375-0002群馬県藤岡市立石1253、電話0274・42・7100、FAX0274・42・7102

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