ゴム・樹脂関連企業が多数出展、食品市場で新規需要開拓めざす
「国際食品工業展(FOOMA JAPAN 2024)」が開催
工業用品 2024-06-10
ゴム・樹脂関連企業が安定した需要が見込める食品関連市場への拡大に力を入れている。先ごろ開催された「国際食品工業展(FOOMA JAPAN 2024)」(東京ビッグサイト/6月4~7日)には、多数のゴム・樹脂関連企業が出展し、食品分野で新規需要開拓を目指し注力製品をピーアールした。食品衛生法の一部が改正され、2020年6月から導入されたポジティブリスト制度への移行猶予期間が2025年5月末に迫る中、各社とも需要の取り込みに力を入れ始めている。
今年のFOOMA JAPANには、過去最高の989社が出展、ベルト関連では、バンドー化学、三ツ星ベルト、ニッタ、フォルボ・ジークリング・ジャパン、ハバジット日本などが、ホース関連ではトヨックスが出展した。またタイヤメーカーであるブリヂストンが昨年に続き出展し、食品搬送の省力化や自動化に貢献するソフトロボットハンドを紹介し、蒲田工業が省人化・自動化システムを展示し注目された。
ゴム・樹脂関連企業がターゲットとするのは、食品メーカーや食品機械メーカーだ。こうした食品ユーザーが求める抗菌・防カビや異物混入防止、洗浄性、非粘着性、低収縮性などの機能に加え、自動化、省力化、効率化、クリーンな作業環境を提案した。各社とも改正食品衛生法への移行を商機ととらえ、ここ数年、食品業界へのアプローチを強化している。特に今回は、ポジティブリスト制度への完全移行を控えておりピーアールにも力が入った。
この制度は、使用を認める物質のリスト(ポジティブリスト)を作成し、使用を認める物質以外は使用を原則として禁止し、リスト内の物質で作られ、“安全が担保された製品のみ”食品が直接触れるような生産工程で使用できるようにするという制度。
各社とも、ポジティブリストに適合する製品を取り揃え交換需要の掘り起こしを進めている。食品生産加工現場では、ポジティブリスト適合製品への移行はほとんど済んでおり「今後、特需的な動きはないが、まだ交換が済んでいないユーザーへの営業を強化していく」(ベルトメーカー)という。
バンドー化学
バンドー化学は、食品生産現場を清潔に保つという「Keep Clean Project」をテーマに展示。低収縮ベルト「ミスターLキーパー」や非付着性に優れる「ミスターシルキーコート」、洗浄性・グリップ力に優れる「ミスタースパイク」などの機能製品を出品した。ブース内では、担当者が実演をしながらそれぞれの製品の特徴を紹介した。
三ツ星ベルト
三ツ星ベルトは、原点回帰をテーマに、市場で実績の高い「ママラインシリーズ」の「鏡面ベルト」「低収縮ベルト」「非粘着ベルト」等の機能性を改めてピーアールした。「光透過性ベルト」については、桟付け加工が可能なタイプを新提案。参考出品として、野菜洗浄用途などに適した新規ポリオレフィンベルト「NS42PNO/2W」を展示した。
ニッタ
ニッタは、FOOMA JAPAN開催のタイミングに合わせて発売した新製品「ポリスプリントTA12―LT」を出品。マイナス30℃に対応する冷凍倉庫用搬送ベルトで、冷凍食品の需要増加やECサービスの拡大などによる低温物流市場の拡大を背景に開発された。市場のニーズに応える製品として拡販していく方針だ。また、同じく新製品の「MEXUシリーズ」を出品。耐洗浄性・離型性に優れるブルーベルトで、食品全般を対象にした平滑表面タイプと米飯などの粘着性食品に適した目付表面タイプを用意している。
ブリヂストン
ブリヂストンの社内ベンチャー企業であるソフトロボティクスベンチャーズは、Doosan RoboticsによるAI搭載のバーテンダー協働ロボット「Mix Master Moodie」と、食品衛生法に適合した「TETOTE」を出展した。Mix Master Moodieがブース訪問者の表情や気分に合わせた音楽とカクテルを提案、TETOTEがフルーツを優しくつかみ、トッピングを器用に行う様子に、「ロボット関係の企業をはじめ、多くの来訪者から注目された」(ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ)としている。
蒲田工業/蒲田エンジニアリング
今年3月に蒲田工業グループの傘下となった蒲田エンジニアリングの持つ省人化・自動化機械メーカーとしてのソリューションをアピールした。同社は省人化ロボットの設計製作、各種製品生産ラインの企画・設計、省力自動機械装置の据付を完全受注生産体制で請け負うのが特徴。展示ブースではボトルに内容物の充填からラベルを貼るラベラー、梱包までの充填ラインを3Dモデル化した動画をモニターで映し出したほか、そのラインの流れをさらにVRで可視化できるよう工夫した展示となった。また、蒲田工業のクリーン事業とのコラボレーションとして、医薬品製造工場や食品製造工場向けの自動化や搬送システムの提案も行っていた。蒲田工業並びに蒲田エンジニアリングの両社の強みを打ち出した展示となった。
ミクロ電子
ミクロ電子は、主力製品の一つ「バッチ式マイクロ波加熱装置」の実機を展示。同機はターンテーブルなどでバッチ処理を行う機種で、連続生産に不向きな大型製品や少量の実験に適している。マイクロ波出力や炉体の大きさなどは自由に設計が可能となっている。
丸五
丸五は、安全靴(スニーカー)のほか、食品工場や外食チェーンなどで使われる厨房長靴やキッチンシューズなどを出品。同社の厨房靴は、丸洗いができ、完全防水、しかも耐油でありながら、静電気もカットできる。
フォルボ・ジークリング・ジャパン
「2024年を食品対応元年に」をテーマに、改正食品衛生法対応製品を取り揃えた。ポジティブリスト制度への移行猶予期間が1年後に迫る中、需要の掘り起こしはかるため、さらに営業活動を強化していく方針だ。注力する新製品として、プラスチックモジュラーベルト「プロリンク」のクリック式連結ソリューション「プロリンク プロスナップ」を出品。取り付けや清掃、修理の際に、モジュラーベルトの分解作業が工具不要で簡単にできるというもので、ダウンタイム短縮に寄与するという。
ハバジット日本
洗いやすく傷つきにくい食品用ベルト「クリーンドライブ」などのベルト製品のほか、柔軟性があるためベルトを傷つけない「TPUスクレーパー」等を展示・紹介した。
トヨックス
コストダウンに寄与する各種ホースと継手を展示し、安心配管セットとして提案した。今回は初めて女性MCによる製品紹介を行い、多くの来場者でブース内が賑わった。特に注目されたのが新製品「食品用ローラーポンプチューブエコフーズPVC」。改正食品衛生法に完全適合し、FDA(米国食品医薬品局)にも適合している。一般的なシリコーンチューブに比べ耐久性が5倍以上もあり交換頻度を低減することができる。またチューブしごきによる削れカスの発生が少なく異物混入のリスクを軽減する。
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