【会社訪問】
ユニオンゴム工業、100年以上の歴史を持つ自動車タイヤ用品が主力のゴム製品メーカー
工業用品 2023-11-07
ユニオンゴム工業(本社・兵庫県神戸市)は、大正9年(1920年)に創業した100年以上の歴史を持つゴム企業だ。自転車用タイヤ・チューブの製造からスタートし、現在は自動車タイヤ用関連製品を主力に生産・販売している。同社を訪ね、足立駿介会長、吉田寛社長にインタビューした。吉田社長は今年4月就任、29年間社長を務めた足立会長からバトンを受けた。
同社はブラダー、フラップ、リムバンドなどの自動車タイヤ用製品を国内タイヤ4社(ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIRE)に供給し、タイヤ関連製品が売上高の半分以上を占めている。
そのほか、自動車や建設機械の防振ゴム、住宅用制震ゴム、船舶用ゴム軸受、鉄道用軌道部品等の工業用ゴム製品や、各種機械用ゴム部品を生産・販売している。
タイヤ関連製品については「以前はフラップが中心で売上高の90%以上を占めていたが、チューブレスタイヤが主流になったことで、ピーク時に月産20万本生産していたものが、現在は月産2万本、10分の1まで減少している。現在はブラダーが主力製品になっている」(足立会長)。
2023年3月期業績は増収増益。ここ数年、業績は右肩上がりで推移している。2024年3月期上期(4~9月)も好調さは継続しており、売上高は前年同期比で約20%増加したという。「タイヤ関連もそれ以外の製品も概ね好調に推移した」(吉田社長)。原材料や光熱費、運送費、人件費と軒並み上昇し、製造コストが大幅にアップしているが、「タイヤメーカー向け製品の原材料はタイヤメーカーからの支給のため価格高騰による影響はそれほど大きくはない。人件費、光熱費などその他のコスト上昇分に関しては、昨年半ばに製品値上げを実施した。顧客からある程度ご理解をいただいたことで利益に関しても前年同期を上回ることができた」(吉田社長)。
下期(10~3月)については、「先行き不透明で上期並みに推移するとは限らないため、慎重にみている。通期で増収増益を達成したい」(同)という。
同社の売上高ピークはフラップ全盛期だった35年前の13億円。今期はそれに迫ることを目指している。
ユニオンゴム工業は創業以来、神戸・長田でゴム企業として事業を営み、町の発展とともに成長してきた。
そんな同社にも危機はあった。
「昭和19年、戦災で長田も焼け野原になり、当社も工場が焼失した。しかし、その後新たに工場を建設し事業を再建、自転車用タイヤの生産を開始した。阪神大震災でも工場が被災したが、加古川に工場を移転・建設して、本社のみ長田に残した」(足立会長)
来年2月には、創業の地を離れ、神戸のビジネスの中心地である三宮に本社を移転する。JR三ノ宮駅から徒歩7分の好立地にある「神戸シルクセンタービル」に事務所を構える。
足立会長、吉田社長とも創業者である吉田孫太郎氏の孫でいとこ同士だ。足立会長は50歳の時にそれまで勤めていた医薬関連企業を辞めて、ユニオンゴム工業の社長に就任した。吉田社長もゴム業界外の会社に勤めていたが辞め、同社の社長に就任した。
足立会長は「これからは、主力のタイヤ関連部品に加え、自社独自の新製品を開発し、新規事業を展開していきたい。トップ交代を機に、新社長を中心に事業拡大に取り組んでもらいたい」と語る。
ユニオンゴム工業
◇本社=兵庫県神戸市長田区松野通1-5-19-303◇加古川工場=兵庫県加古川市平岡町土山753-17◇岩岡工場=兵庫県神戸市西区岩岡町古郷1528-1◇資本金=4,500万円◇決算期=3月31日
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