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多品種小ロット対応をさらに短納期化

【インタビュー】武蔵オイルシール社長武藤正弘氏、食品分野などへも販路拡大

工業用品 2017-04-17


■16年12月期業績
 売上高38億6,000万円で前期に比べ若干減少した。輸出部門、工作機械部門、国内自動車補修部門の3セグメントとも前期実績を僅かに下回った。利益面は、売上高減少と従業員を増員したことなどにより前期を下回った。

 ■輸出部門の状況
 輸出は15年は伸長したが、16年は円高や産油国の不況により前半が振るわなかった。輸出はすべて自動車補修用製品だ。以前は欧米市場を中心に産業機械用製品の輸出が多かったが、円高の進行により競争力を失い産業用の輸出は減少してしまった。自動車用は豊富な品揃えと小ロット対応により、為替の影響は受けつつも輸出が拡大している。

 輸出は為替などの影響により年毎に好不調の波が大きいが、徐々に拡大していることは確かだ。国内市場が縮小傾向にある中で、今後は輸出を増やしていきたいと思っている。現在、当社の海外売上高比率は約20%だが、これを30%まで高めたいと思っている。

 ■工作機械部門の状況
 工作機械は14年が非常に好調だったが、その反動もあり15、16年と低調だった。ただし、16年後半から回復傾向にあり、今年1―3月は好調に推移している。

 ■国内自動車補修部門の状況
 ほぼ横ばいで推移した。輸出や工作機械向けは年毎に波があるが、国内自動車補修用製品は、それほど変動がなく安定している。近年のハイブリッド車の拡大や電気自動車化への流れは、自動車補修用製品にとっては、懸念材料と言えるが、まだそれほど影響は出ていない。

 一方で深刻なのは自動車エンジンのチェーン化だ。エンジンにタイミングベルトが使用されていた当時は、ベルト交換時にオイルシールも交換されたが、チェーン化が進んだことでそれがなくなった。エンジン回りでのオイルシール交換需要は10年前に比べ3割以上減少している。

 ■17年12月期業績計画
 売上高は前期比5.4%増の計画で、輸出、工作機械、国内自動車補修用製品の3セグメントとも増収を目指している。利益面の大幅な増益を計画している。

 ■国内生産拠点
 栃木県大田原市と千葉県船橋市に工場があり、大田原工場では主に量産製品を生産し、船橋工場では多品種小ロット製品に対応している。当社は自動車用に関しては、40、50年前の車種から新型車種まで補修部品を品揃えしている。純正部品の供給がストップしてしまった旧型車種などでも、当社には部品の在庫があり、品揃えは豊富だ。

 産業機械用製品については提案型営業に力を入れている。ユーザー先に出向いてニーズを聞き、オーダーメイド対応できるのが当社の強みといえる。

 ■経営課題
 現在「5S3M活動」に取り組んでいる。5Sは整理・整頓・清掃・清潔・躾だが、それに「武蔵」「見える」「マネジメント」の3Mを加えた活動を推進している。具体的には工場現場での生産工程管理の見える化や営業管理の透明化などに取り組んでいる。

 生産現場では「LT50活動」というプロジェクトも推進している。これは受注から生産・出荷までのリードタイムを半分に短縮しようという取り組み。オーダーメイドの多品種小ロット対応をできるのが当社の強みだが、それをさらに短納期で対応しようというのがこの活動の目的だ。

 また産業機械用製品の販路拡大にも取り組んでいる。現在は工作機械向けが中心だが、これ以外の分野、たとえば食品分野への販路拡大に着手している。15年に食品機械の総合見本市である「国際食品工業展(FOOMA JAPAN)」に出展したが、今年も6月に開催する同展に出展する。食品機械向けに製品開発も進めており、需要開拓に向けて成果を挙げつつある。

 また長期的な課題としては、オイルシール製品に加えて、新たな製品・新たな事業を立ち上げたいと思っている。この課題については、次世代を担う人材に託したいと思っている。

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