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【特集】ゴム・樹脂ホース

ニッタ、自動車用のさらなる需要回復に期待

会員限定 工業用品 2023-03-28

 ニッタのニッタ・ムアー事業部の2023年3月期第3四半期(4~12月)業績は、前年同期比微増収となった。半導体をはじめとする部材不足の影響を受けて、主要需要先の生産が減少し、全体として第1四半期は微減収。しかし、第2四半期以降は部材不足も徐々に改善し、第3四半期では微増収まで盛り返した。

 一般産業事業では、油圧ホース製品は需要先の建設機械メーカーが第2四半期以降に挽回生産を行ったことで需要はなだらかに回復。フォークリフトなどの産業車両用も第2四半期以降は堅調だった。また、クリーンチューブ製品は、主要需要先の半導体製造装置メーカーの回復がさらに力強く、「部材不足前の水準に戻っている」(ニッタ・ムアー事業部)。業績は回復傾向で推移しており、通期では前期並みになる見通しだ。

 来期の需要動向は、「半導体装置メーカーは上期に一旦踊り場を迎えるが下期は回復するとみている。建設機械、産業車両は堅調に推移する」(同)見込み。ただ、「部材不足による建設機械生産への影響は継続している。生産が停滞すれば見込み通りにはいかない懸念もある」(同)としている。

 営業面では、建設機械向けには樹脂パイロットホースの展開や中国ローカル建設機械メーカーへの拡販を強化。工作機械向けには、新カラー3種(青色・灰色・赤色)を追加した超柔軟樹脂ホース「ラインメイトLB70シリーズ」の展開に注力する。

 オート事業の第3四半期の需要動向は、乗用車、商用車ともに回復傾向で推移した。「需要先も計画通りには生産できておらず、動向を見守る必要があるものの、乗用車は自動車メーカーの部材不足が徐々に回復し、チューブ需要も上向きつつある。商用車用も同様で、全体で回復基調に入った」(同)。

 来期についても「乗用車はメーカーが強気な生産計画を立てており、商用車も物流関連が好調でトラック需要は安定している」(同)として、両品種でチューブ製品のさらなる需要回復を期待している。

 新規分野では、EV(電動車)やFCV(燃料電池車)の配管開発に取り組んでいる。EV向けではバッテリーやモーターまわりの冷却配管を中心に進めており、一部で採用が決定した。今後の採用拡大にあたり課題となるのが、さらなるコスト競争力の向上。「日本だけでなく、中国系、欧米系のプレイヤーが乱立する厳しい市場ではコスト競争力の向上は不可欠要素。製造・開発・購買が一体となって取り組んでいく」(同)方針だ。

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