事業拡大の歩み、海外展開のエピソード語る
【インタビュー】イノアックコーポレーション・井上聰一CEO
工業用品 2017-03-01
■16年12月期単体業績
当社の国内単体売上高は1,590億円、また海外を含む合算売上高は4,300億円となっています。
今後も技術開発、生産、販売のグローバル化をさらに推進して企業グループの発展を期しています。
■ウレタン事業のエピソード
1954年にドイツ・バイエル社との技術提携により、日本で初めてウレタンフォームを生産しました。当時、ゴム薬品というとバイエルの技術が一番進んでいて、戦時中でも特殊なゴム薬品はドイツから輸入していたものです。
ウレタン材料を生産していたのもバイエルで、同社に勤めていたオットー・バイヤーという人がウレタンフォームを発明しました。
当社では当時、バイエルのゴム薬品を輸入していましたので、そのツテでバイエルのウレタンフォーム「モルトプレン」に興味がないかとの紹介があり、ドイツに飛んで行って技術提携しましょうという話になり、機械と原料をオーダーして帰国しました。
まだ日本は外貨制限が厳しい時代で、通産省(現経済産業省)から外貨を使う商売は難しいといわれましたが、音に関する研究所を所有していたNHKにウレタンフォームを持ち込み、吸音性に優れる材料というお墨付きをいただきました。
用途開発では、その頃台頭し始めたエアコンメーカーに、防音材としてモルトプレンの採用を働きかけた結果、防音・吸音に優れる材料として認められ、通産省にも産業に貢献する材料であることを理解していただき、輸入許可が下りました。
■最初に進出した国、スリランカ
実は当社が一番初めに進出した国はスリランカでした。1948年に英国の自治領から独立したセイロン(現スリランカ)は天然ゴムの産地でもあり、現地の会社からのゴム事業を始めてほしいという要請に応え、1959年に合弁会社を設立しました。その後、当社は撤退しましたが、ゴム会社は今でも存続しています。
スリランカでは2013年に新工場を開設し、ブラジャーのパッド等のウレタンフォーム製品を生産しています。
■イラン工場
前述しましたように、当社は1965年からイランで現地生産を開始しました。その経緯は、当時の国王の親戚が来日した折、その方からゴム工場をつくってほしいとの要請があり、すぐに飛んで行って交渉しました。 その後、日本で研修を受けさせるため、当地の大学卒の男性数人を当社の工場に送り込みました。
研修から1年半後にイラン工場が立ち上がりましたが、残念ながら1979年に起きたイラン革命で工場は国営化となり、当社は撤退しました。
その国営工場は、今でもイランのみならず中東で一番大きなオートバイタイヤメーカーとして存続しています。
-
【特集】福祉・介護製品
イノアックコーポレーション、在宅介護市場で新規開拓を進める
工業用品 2024-04-22
-
素材事業強化の一環としてゴム...
【新年トップインタビュー】イノアックコーポレーション社長 野
インタビュー 2024-01-29
-
スタジアムとオフィシャルチー...
イノアックコーポレーション、「名古屋グランパス」との契約延長
工業用品 2023-06-22
-
コスト増など響き5社中4社が減益
未上場ゴム企業2022年12月期業績、売上高は11社中8社が
決算 2023-05-08
-
【特集】福祉・介護製品
イノアックコーポレーション、在宅介護向け新製品の販売に注力
工業用品 2023-04-24
-
オールラウンドに使用可能な中...
イノアックコーポレーション、EPDM系低VOC難燃ゴムスポン
工業用品 2023-04-18
-
「断熱改修プロジェクト」に賛同
イノアックコーポレーション、小学校に断熱材を提供
工業用品 2023-01-17
-
耐熱・耐寒性に優れる
イノアックコーポレーション、シリコーン独泡ゴムスポンジの新グ
工業用品 2023-01-17
-
“革新と実践”という創業の精神...
新年トップインタビュー/イノアックコーポレーション社長 野村
インタビュー 2023-01-16