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特性活かしウェアラブル分野に進出

クレハエラストマー、極薄ゴムシート事業が好調

工業用品 2018-03-20


 クレハエラストマーの極薄シート事業が好調だ。17年度(3月期)業績は前年度比2ケタの増収増益と大幅に伸長する見込み。メイン需要先のエレクトロニクス(電子機器)分野に加え、半導体製造設備の工程部材としての需要が好調に推移。15年度に新たに採用された「工業用電池部材」や「医療用測定機器部材」用途も需要が継続・拡大していることで業績を押し上げた。また、製造現場におけるコスト・原価低減策も奏功し、利益面で寄与した。

 同社の展開する極薄ゴムシートは、厚さ0.05-0.2ミリと超薄膜で公差は±10%と高精度。各種合成ゴムでの広幅(1,000ミリ)・長尺対応が可能で、用途に合わせた配合設計で導電・放熱・透明・遮光性などを付与できる。さらにPET、PEI、PIなどの各種エンプラフィルムとの複合により、加工性の向上などゴム単層では出せなかった機能の実現が可能で、「用途に応じてトータルでのコストダウンを提案できる」(同社シート事業部高機能品グループ)ことが強みとなっている。

 18年度もこれらの特長を活かし、既存分野の需要拡大を進めるとともに新規分野の開拓も積極的に行っていく方針。新規分野では、“薄くて伸びて曲げられる”素材特性を活かし、心拍数を計測するセンシング部材への使用など、主にウェアラブル関連での展開を進めていく。「現在は主にホームページを通じて多くのお問い合わせやご提案を頂いている。営業展開を進める中でそれらを絞り込み、方向性を打ち出していくことで商品化につなげていきたい」(同)考えだ。

 また、新規素材として誘電エラストマーの基礎研究も進めている。誘電エラストマーはゴムシートの両面に電極を付け、電流を加えることで伸縮する特性を持つ。各種センサーやアクチュエイターの素材としての利用を想定しており、製品開発に向けたパートナー探しも行っている。「同素材を製品化できれば用途展開は大幅に広がる。現在開発が進められている自動運転化技術には多くのセンサー部品が必要とされることが見込まれているので、これらの分野への展開も視野に入れている」(同)。

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