製造プロセスのイノベーションで
エボニック、フュームドシリカの生産工程簡素化
原材料 2019-03-13
エボニック インダストリーズ(本社ドイツ・エッセン)は3月12日、フュームドシリカの製造プロセスを刷新し、生産工程を簡素化したと発表した。
刷新したのは、コーティングアディティブス・ビジネスラインが取り扱うフュームド酸化物「AEROSIL」の製造工程で、シリカの湿潤と分散に関して、今まで2つの別システム(ディゾルバー分散機とビーズミル分散機)で処理されていた工程が、ディゾルバー分散機によるひとつの工程だけで行うことが可能になった。
この工程により生まれた「easy-to-disperse silica(E2D)」(簡易分散シリカ)と呼ばれるシリカを利用することで、処理時間、清掃時間、生産ロスの削減に加え、ビーズミル分散の工程を省略することで投資額やメンテナンス費用の削減にもつながる。
同社では塗料系における加工特性、レオロジー効果や光学的特性を比較するため、標準的な製品を従来のビーズミル分散方法で処理したものと、試作品(E2D製品)をディゾルバー分散機のみで処理したものを比較するテストを実施。粘性、光沢、ヘイズ、漆黒度(色濃度)や耐ひっかき性の改善(VP RS 920)に関する結果は同等で誤差の範囲内だった。
高せん断速度と低せん断速度における粘度曲線は、粘度上昇の許容範囲内で一致している。同水準の効果と同一の光学特性を達成できるため、コーティング剤の製造会社は既存のフォーミュレーションを調整する必要がなく、従来のコーティング剤の処方に従い新たな製法を開発することができる。フュームドシリカのE2Dグレードは、対応するAEROSIL製品と化学構成が同一で、製造過程でいかなる添加物も加えられていないため、これまでの標準製品と同様の塗料系との相溶性を有する。
フュームドシリカAEROSILは、主に自動車や工業用コーティング剤として使用され、チキソトロピー性付与剤、沈降防止剤としてレオロジー性をコントロールしたり、サビおよび腐食を防止するために利用されている。現在は、AEROSIL R972、同R812、同R805、同R9200のE2DグレードとしてVP RS 92、同85、同920の試作サンプルの提供が可能となっている。
なお、エボニックは3月19-21日にドイツ・ニュルンベルクで行われる「ヨーロピアン・コーティングショー2019」に出展する。