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ラバーインダストリー700号突破記念特集

〈特別取材〉ジャパンブルーカーボンプロジェクト

会員限定 ラバーインダストリー 2024-09-04

 森林などのグリーンカーボン生態系よりも二酸化炭素(CO2)吸収量が高いと注目されるブルーカーボン生態系。それは「海の森」とも言われている。脱炭素社会を目指す今,海洋生態系を守りながら二酸化炭素(CO2)の新たな吸収源となるブルーカーボンは海を四方に囲まれている日本にとっては有効な切り札となる。2021年,この豊かな海の森作りのために設立されたジャパンブルーカーボンプロジェクト(JBP)の吉川京二代表取締役に活動内容と展望を聞いた。

ジャパンブルーカーボンプロジェクト(JBP) 吉川京二代表取締役

2025年3月まで北海道釧路西港で藻場の再生実証実験を行う

 脱炭素社会を目指す海洋で,藻場などに光合成が目的で吸収される二酸化炭素(CO2)をブルーカーボンという。すでに15年前の2009年に国連環境計画(UNEP)が報告書「ブルーカーボン」をまとめ,二酸化炭素(CO2)の吸収源として海の可能性を提示。「ブルーカーボンにより,年間総排出量のおよそ0.5%を吸収・隔離できる」「温暖化を1.5℃に抑えるために必要な削減量の2.5%はブルーカーボン生態系による吸収減対策で達成可能」として,その期待値は大きい。

 ジャパンブルーカーボンプロジェクトは,吉川氏が経営コンサルタントとして活動中に,縁あった北海道浜中町のウニ漁をする平川水産から「ブルーカーボンというこれから日本にとって大切な事業があるが何か貢献はできないか」との相談を受け調査。「沿岸域における磯焼けで海草・海藻が消滅し魚は取れなくなってきている」ことを知り,「当初ボランティアでの活動を考えたが,持続可能な活動にするには法人組織がベターだと決断した」(吉川代表取締役)という経緯を持つ。

 世界規模で年間約100億トンの二酸化炭素(CO2)が排出されるが,海が25億トン吸収し,そのうちの約11億トンほどを浅瀬の藻場が吸収している。しかし,近年その藻場がなくなり海水温も上がってきている。日本のブルーカーボン生態系には①海草の藻場(アマモ場)②海藻の藻場(コンブ,カジメ等の藻場やちぎれコンブなどの流れ藻)③湿地・干潟④マングローブ林がある。ジャパンブルーカーボンプロジェクトは「ウニ漁業60年の北海道浜中町・平川水産」と「海の清掃・再生30年の北海道厚岸町・松井商会」の協力を得て,2021年9月に「北海道ブルーカーボンプロジェクト」を設立。さらに「全国」「海外」からの要望に応えるべく,本社を北海道・浜中町から,東京に移し「ジャパンブルーカーボンプロジェクト」に,2021年12月に社名を変更し現在に至っている。

 具体的な活動としては,北海道釧路西港での藻場を再生する実証実験。

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