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ラバーインダストリー700号突破記念特集

〈特別取材〉水素バリューチェーン推進協議会

会員限定 ラバーインダストリー 2024-08-28

 さまざまな資源から製造可能かつ、利用時に二酸化炭素(CO2)を排出しないエネルギー源として注目を集めている水素。水素を活用した産業を国内外で形成途中のいま、2022年に設立され、水素の需要創出、技術革新による供給コストの削減、事業者に対する資金供給など、水素社会実現に向けた課題解決を目的に活動を進める水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)の福島洋事務局長(岩谷産業取締役専務執行役員)に、水素社会実現のための課題について聞いた。

水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)福島洋事務局長(岩谷産業取締役専務執行役員)

水素の現在地と未来

 2023年に改訂された日本政府の「水素基本戦略」でも、水素がエネルギー源として必須であると位置づけられている。

 現在、水素のエネルギー源としての利用はロケットのエンジンや一部の燃料電池自動車などに限られているが、今後は発電や輸送、産業分野でさらなる利用が見込まれる。現段階で検討されているのは、発電用の調整電源、大型モビリティ(トラック、バスなど)の動力源、製鉄、ガラス製造など産業部門における高温熱利用の熱源が挙げられる。調整電源というのは、電気の需要量と供給量に差がある場合、その差を調整するために必要な電源だ。現在は火力発電所が調整を担当しているが、今後は水素が活かせる分野だとみている。水素の他に、太陽光や風力といった発電方法もあるが、いずれも発電の可否が天候に委ねられており、安定供給が難しい。いつでも発電できるのは水素の強みだ。

 大型トラックやバスなどの大型モビリティの動力源としても水素活用が見込める。昨今、CO2を排出しない動力源として自動車の電動化が推進されているが、大型モビリティは電動化した場合に航続距離が短くなり、長距離輸送が困難になるなど課題が多い。そこで、大型モビリティの動力源として水素が注目されている。また、ガラスや鉄など高温熱を使用しなければ加工が難しい場面にも水素利活用の可能性がある。いずれにしても、電化困難な領域を水素でカバーするのが水素基本戦略の根幹だ。

水素社会実現のための課題

 水素利用を普及させるためには、大きく分けて3つの課題を解決していく必要がある。

 1つ目は、

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