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「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」に出展

ポリプラ・エボニック、ゴム用添加剤「VESTENAMER」を紹介

原材料 2025-06-11

 ポリプラ・エボニックは、5月21~23日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」に出展し、エボニック インダストリーズ製のゴム用添加剤「VESTENAMER(ベステナマー)8012」と、その応用展開として開発中の「形状記憶VESTENAMER」を展示した。

ベステナマー配合のテニスボール(右)


木粉配合ベステナマー

リサイクルゴムへの添加で物性向上に寄与

 「VESTENAMER 8012」は、トランスポリオクテナマー(TOR)で、主にトランス二重結合をもつ大環状ポリマーを高い割合で含有している。また、低ガラス転移点(-67℃)や低ムーニー粘度(<10)といった特性を有する。特に、リサイクルゴムへの添加において、焦げ問題の改善や簡便なプロセス、ゴム性能と品質低下の抑制、ゴム表面品質の改善といった効果を発揮する。廃タイヤを細かく砕いた再生ゴムは、架橋された状態で存在しているため、新しいゴムとの密着性が弱く、物性が落ちやすいという課題がある。これに対し、VESTENAMERを添加することで、廃材粒子の表面を覆い、分子レベルで新規ゴムと強固に結合させることが可能になるという。
 既に、公式認定のテニスボールの内層に、ベステナマーと廃タイヤ粉末を組み合わせたゴムが使用されている事例も紹介された。「サーマルリサイクル以外で廃タイヤの価値を高める可能性があると思う」(ポリプラ・エボニック)。

 開発品として紹介された「形状記憶VESTENAMER」は、架橋によって形状記憶性を付与した柔軟な樹脂で、融点が約53℃と低く、加熱・冷却によって変形形状を固定し、再加熱で元の形に戻す性質を持つ。射出成形や押出成形、3Dプリンタなど幅広い加工方法に対応し、シートなど厚みのある形状や物理的な変形にも適応可能な点が特徴だ。

 さらに、サステナブルな形状記憶樹脂「木粉配合VESTENAMER」も参考展示された。これは先述の「形状記憶VESTENAMER」に、製材端材から作られる木粉を配合した形状記憶材料。一般的な樹脂よりも低温で成形できるため、木粉が焦げにくく、自然の香りを残したまま加工できる。杉やヒノキなど、複数の樹種から選択可能で、展示会ではこの特性を活かしたシート状サンプルが紹介された。

 同社は同製品群について、「添加剤としての用途が中心だが、今後主材料としての展開や機能性製品への応用も視野に入れている」(同)とし、来場者からのアイデアを受けながら、今後の更なる用途展開を模索していく考えだ。

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