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日本、タイ、スペインで生産設備停止・生産縮小行う

UBE、アンモニア、カプロラクタム、ナイロンポリマーなどの構造改革を実施

原材料 2025-01-28

 UBEは、日本、タイ、スペインでアンモニア、カプロラクタム、ナイロンポリマーなどの構造改革(生産設備停止もしくは生産縮小)を実施する。

 同社では、2022年5月に中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」(現中計)を公表。ベーシック事業(ナイロンポリマー、カプロラクタム・硫安、工業薬品、エラストマー、ポリエチレンフィルム、樹脂加工品)については、2030年を目途にアンモニアの生産停止およびそれに先立つ国内カプロラクタムの生産縮小(2024年5月実施済み)などを進めてきたが、中国企業の過剰供給などによりアジア市場を中心に足元の事業環境が想定を超えて大きく悪化し、今後の回復も見込み難いことから、海外を含めた事業構造改革(設備の停止による縮小・撤退)の一段の前倒しが喫緊の課題と判断した。

 日本では、宇部ケミカル工場において、 アンモニアおよび関連する製品群の生産停止時期を現中計の想定より2年強前倒しして2027年度末(2028年3月)とする。また、カプロラクタム(残存主要期系)およびナイロンポリマーは、足元の事業環境を踏まえてさらに早め、原料であるシクロヘキサノンを含め2026年度末(2027年3月)に生産を停止する。

 これにより、宇部ケミカル工場は、ポリイミド、分離膜、セラミックス(窒化珪素)、医薬、高純度化学薬品などスペシャリティ事業中心の生産・開発拠点になる。

 タイでは、 アジアの中核会社であるUBE Chemicals [Asia](=UCHA)において、2026年度末(2027年3月)までにシクロヘキサノン・カプロラクタム・硫安の生産を停止し、ナイロンポリマーは2系列の生産設備を1系列に縮小する。併せてUBE Fine Chemicals [Asia](=UFA)においてシクロヘキサノンから副生する1,6ヘキサンジオールおよび1,5ペンタンジオールの生産を停止する。

 生産停止後も、UBEグループのタイ拠点では、UCHAがコンポジットの、UFAが高機能コーティング事業としてPCD(ポリカーボネートジオール)の、またTHAI SYNTHETIC RUBBERSがエラストマーの生産を継続・拡大していく。

 スペインでは、欧州では、カプロラクタム、ナイロンポリマーの市場環境がアジアと比較して安定しており、また、食品包装用途のナイロンポリマーは域内トップシェアを誇るため、欧州中核会社のUBE CORPORATION EUROPEでは、リサイクルやバイオベースナイロンなど環境貢献型製品の拡大を図りながら両製品の生産を継続する。

 一方、収益改善を図るため、顧客などとの調整がつき次第、早急にシクロヘキサノンおよび1,6ヘキサンジオール、1,5ペンタンジオールの生産を停止する。

 今回の構造改革に伴う減損損失などは、約350億円と見込んでおり、2025年3月期に一括計上する予定(内訳:宇部ケミカル工場[UBE単独]約100億円、タイ拠点約250億円)。また、設備の解体撤去費用は、現時点で約300億円と見込んでおり、会計基準に従い2028年3月期以降数年間にわたり工事の進捗に合わせて計上していく予定。

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