自社と顧客、双方にメリット
アサノフォームテック×北川鉄工所、ウォータージェットの導入で抜型不要に
工業用品 2025-01-27
アサノフォームテック(分水工場:新潟県燕市)は、ウレタンフォームやゴムスポンジの加工・販売を主力とするメーカーで、高精度な加工技術で用途に応じた製品を作り、顧客から高い評価と信頼を得ている。
2023年5月には北川鉄工所のウォータージェットを導入し、これまで対応できなかった加工も可能になり、さらにビジネスの幅を広げている。石川和夫取締役本部長(以下、石川本部長)と山口正文工場長に同社の概要や現況、今後の方向性などについて話を聞いた。

石川取締役本部長(後ろは北川鉄工所のウォータージェット)

アサノフォームテック分水工場
■アサノフォームテックの事業について
同社は1961(昭和36)年、新潟県南蒲原郡で設立された。設立当初は家電製品(電気あんか)に使用する資材繊維の縫製工場だったが、その後、1971(昭和46)年にウレタンフォームの加工・販売に進出し事業を拡大していった。
現在は化成品・縫製・メディカルの3部門で事業展開しており、売上高の8割を占める化成品が主力事業だ。
同社は「多品種・小ロット」生産をしており、様々な顧客の要望に短納期対応できる体制をとっている。たとえば、スピーディーに対応するために多種多様な加工機を活用し、作業効率を上げている。
また、同社は幅広い業種の客先と取引しており、建機、建築、自動車、家電、家具、水耕栽培などバラエティに富んでいる。特定の業種に偏ることなくうまくリスク分散しているため、コロナ禍でも安定した受注を得ていたという。
■化成品事業について
石川本部長によると「軟質ウレタンフォーム、発泡ポリエチレン、ゴムスポンジをメインに加工している。たとえば、建設機械用のウレタン防音材、建築用防水パッキン、梱包材の加工の他、資材として指定の寸法にカットすることもある」という。
■事業の特色
同社は小ロット・多品種・短納期対応が強みだ。また様々な加工ができることも特色の一つで、たとえば、ハーフ抜き加工やプロッターによる切削加工などにも対応する。2023年にウォータージェットを導入したことで、それまで対応できなかった「硬い材質」「柔らかい材質」「抜型で加工できない小型製品や厚物」にも対応できるようになったという。
■ウォータージェット導入
2年ほど前に北川鉄工所のウォータージェットを導入した同社だが、初めて扱う装置ということもあり、決断までに迷いがあったという。そんな中、後押しとなったのが得意先の意見。「頼める仕事が増える」と非常に前向きで、どんな加工ができるのかと興味を持たれる取引先が多かった。そこで、「お客様の要望にお応えできるのであればという思いと、新規の広がりも期待できると思い」導入を決めたという。
ウォータージェットを使う一番の成果は、抜型が不要である点だ。時間と費用をかけて抜型を作る必要がなく、それを保管する必要もなくなった。
「以前は抜型が数百点あったが、それらが不要になり、保管していた広いスペースが丸ごと空いた。抜型を作成する時間と費用も削減できた。また重量のある抜型の交換作業がなくなったことで、現場作業員の負担も減らすことができた」(石川本部長)
抜型が不要になったことで、主要顧客の中には費用負担が数百万円軽減された会社もあり、「当社とお客様、双方にとって大きなプラスとなった。他にもたくさんの取引先企業様に喜んでいただいている」(同)。
■独自のCAD/CAM
キタガワ製ウォータージェットのCAD/CAMには、部品を自動で配置するオートネスティング機能がついている。「1分もかからずワークを配置できるようになった。材料のムダも少なくなったので廃棄物が減り、歩留まり5%は向上している」(同)。作業効率が上がり、従業員の負荷も減り、よりムダの少ない生産へと変わったという。
■今後の展開について
同社では、対応できる加工が増えたことで取引の幅が広がっている。小ロットの要望も多くなってきているそうだ。そのためウォータージェットは、現状、フル稼働状態だという。
「ウォータージェットは少し勉強すれば担当者以外でも扱えるので、担当者が休んでも他の作業員が引き継いで作業できる。またウォータージェットの話をすると興味を持つ人が非常に多い。そこから新たな需要が開拓できると期待している」(同)。今後は色々な展示会に出展してPR活動を進めていく予定だという。
アサノフォームテック分水工場への問い合わせは、電話0256・97・3290まで。