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X線使用せず安全、原料廃棄削減やエネルギー削減に貢献

八光オートメーション、「ミリ波CTスキャナー」を開発

工業用品 2022-08-04

 八光オートメーション(福岡県糟屋郡、小野和雄社長)は、自動車用ミリ波レーダーを応用し、低コストで安全な「ミリ波CTスキャナー」を開発した。

ミリ波CTスキャナー


 同製品は、X線CTスキャナーでは検査困難なゴムなどの原材料の混ざり具合や密度分布の可視化が可能な装置。これまでのX線CTスキャナーは密度が低い材料では十分なコントラストが得られず検査が困難だったが、同製品はプラスチックやゴムなどの検査において、X線より高いコントラストを得ることができる。また、ミリ波はX線のような被ばくの危険性がなく、管理者の登録も不要なため導入が容易。加えてX線源のような消耗品もないため、ランニングコストを抑えることができる。

 同社ではオフラインでの使用を想定した卓上型のミリ波CTスキャナーを2022年8月に発売する。販売価格は非破壊検査装置としては破格の1台350万円を想定。また、生産ラインに直接設置するインライン型のミリ波CTスキャナーの開発も進めていく。
 

高品質な製品の製造と原料のムダな廃棄を防ぐ

 さまざまな工場の生産ラインの上流側には、原材料を混ぜ合わせる混練工程がある。ゴムの場合、原料ゴムに配合剤を投入してミキサーで混練しシート状に成型するが、この工程にミリ波CTスキャナーを設置することで混ざり具合を検査することができ、混ざり具合が不十分だった場合、再度混ぜ直すことで良品へと修正することが可能になる。

 また、生産ラインの下流側で問題が見つかった場合には、すでに化学反応や各種加工が施されているため製品を廃棄するしかない。生産ラインの上流側で不具合を撲滅することで、材料のムダな廃棄を防ぐことができる。
 

エネルギー消費を削減

 材料を混ぜ合わせる工程は、混ぜ合わせる時間がエネルギー消費に直結する。必要以上に混ぜ合わせることは、エネルギーを浪費に繋がる。しかし現状は混ざり具合を評価する手段がないため、完全に混ざり合うよりも長い時間混ぜることで品質を保っている。

 ミリ波CTスキャナーで混ざり具合を可視化できれば、過剰な混ぜ合わせ時間が不要となり、エネルギー消費を削減することができる。その結果、各企業のSDGsの取り組みにも貢献することができる。

計測事例:密度の異なる2種類の材料の混ざり具合を計測した事例。混ざり具合をカラー画像とヒストグラム、標準偏差で判断することができる


 ■装置スペック
 ◇分解能=水平方向:3ミリ、深さ方向:40ミリ◇計測対象=形状:凹凸のない平面形状◇材質:ゴム、樹脂、セラミックス、ガラスなど(導電性材料は計測不可)◇厚さ:1~50ミリ(材質による)

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