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低価格、半日完結で誰でも参加しやすい講座に

右川ゴム製造所、ゴム業界初心者向け「実践基本ゴム講座」を実施

工業用品 2022-06-27

 右川ゴム製造所(右川誠治社長)では、ゴム業界初心者を対象とした「実践基本ゴム講座」を埼玉県八潮市大曽根の本社・工場で実施している。2019年5月からおよそ20回開催し、50人以上が参加した。

稲垣雄大専務取締役


 同講座は、『業界初の体験型工場見学』と銘打ち、ゴムの製造工程と物性試験を短時間で体験することができる。参加は有料だが低価格に設定。所要時間も、朝から約半日に収めている。「半日で完結することで、参加がしやすいようにしている」(稲垣雄大専務取締役)。1回の講座で受講できる人数は2~4人。現在はコロナ禍ということもあり、最大2人で対応している。「安全に配慮し丁寧にじっくり教えたい」(同)ということから、これ以上人数を増加する予定は今のところないという。

講師役の2人


 受講の呼びかけは、「開講当初は当社と取引があるところが中心だった。しかしホームページでの告知や、展示会でのチラシ配布をきっかけに、今では取引関係のない新規の顧客や、異業種からの申し込みも増えている」(同)。
 プログラムは、ゴムの製造工程の体験と工場見学の2つで構成されている。まずは原材料ゴムと薬品の配合、そしてロールによる混練、プレス加工を体験。ゴムの材料と各薬品類を計量し混ぜ合わせ、実際に試験用ロールを扱いながら材料を混練する。ロールの使用は、講座で最も気を使うところだ。安全確保のため講師役の2人の内1人は、必ず安全弁(ストッパー)に手を掛けながら、実習を見守る。

ロールによる混錬のようす


 その後、工場見学を行う。ゴム成形の要でもある金型や口金の設計についても、担当者から話を聞くことができる。先に製造工程を一部体験することで、工場での一連の流れに対し、より理解が深まる構成だ。工場見学終了後は、ゴムの物性試験を体験。そしてアンケートに回答したのち、プログラムは終了となる。
 同講座が開講された当初は、座学もプログラムに組み込んでいた。しかし「実践に時間を割きたい」という参加者の声に応え、体験に特化したプログラムにブラッシュアップしてきた。

金型や口金の設計について話す担当者と受講生ら


 取材当日、参加していた原材料専門商社で営業を担当しているという受講生からは「半日のみとはいえ、職人の技を体感することができるのは貴重な場。また、現場の熱さ、匂いなどは、オンラインでは味わうことのできない体験だ」、「いま原材料の値上がりが続いている。我々は原材料を売る立場だが、製造現場の臨場感を体験することで、納得のいく説明やサポートもできるようになると思う」といった感想があった。

 右川ゴム製造所は、明治30年に創業。以来、120年以上、ゴム業界に身を置いてきた。「ゴム業界、ゴム企業が持っている配合や加工技術は、長年ブラックボックスと言われ、内に閉ざされていた世界だった。当社はゴム業界をもっと開かれたものにしたいと考えてきた。当社の工場をオープンにすることで、外とのコミュニケーションを活発にしていきたいと考えている」(稲垣専務取締役)。

 こうした姿勢を見せることで、同社への問い合わせのハードルが下がり、新規の問い合わせも多く寄せられるようになった。「エンドユーザーに近い顧客との仕事も生まれた」(同)という。

 今後の展望として、「引き続き講座を継続していく。多くの受講生の皆様に喜んで頂けることが最もうれしく意義深いことだ。また、共感を頂ける他社とも連携するなどして、さらに講座を進化・発展させ、どうしたらもっと多くの方に喜んで頂けるのか、多くのコミュニケーションが生まれるのかを模索したい」(同)。

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