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まずは中期経営企画をしっかりとやり遂げる

【新社長インタビュー】バンドー化学社長 植野富夫氏

会員限定 工業用品 2022-04-18

 4月1日付けで新社長に就任したバンドー化学の植野富夫氏(53歳)。「2022年度は“中期経営計画Breakthroughs for the future” 2nd stage(BF-2)の最終年度である一方で、次期中長期経営計画の策定も行う。2つがオーバーラップする年になる」と位置付ける。「新事業の創出」、「コア事業の拡大」、「ものづくりの深化と進化」、「個人と組織の働き方改革」―― の4つの指針を掲げるBF-2だが、「まずはこの現中期経営計画をしっかりとやり遂げ、それから将来を見据えた次期中期経営計画の策定に取り組む。従業員みんながやる気になれるような計画にしたい」と抱負を語る。

植野富夫社長



 「4月から新しい年度に入り、さっそく次期中長期経営計画の具体的な検討を始めていく。方向性としては、2050年の未来を見据えることが必要だ。そこから2030年やそれより前に何ができるのかということから考えていくべきだと思う。事業領域についても時代の変化に沿って変えていく必要がある。新事業の創出とコア事業の拡大を図るという基本的な方向性は大きく変わらないが、ものづくりや働き方改革などの課題を含め、これらをどう有機的に結び付けて早く結果が出せるかという仕掛けを作っていきたい」(植野社長)。構想の一端からは、「従業員のエンゲージメントを高めながら、成果を上げるためにどのような力配分にするかを考え、将来を見据えたい」(同)と、変革への意気込みが垣間見える。

 バンドー化学のコア事業の1つである自動車部品事業においては、EV化の流れが大きな課題だ。
 「自動車部品事業は今の事業構成で見るとコア事業となっているが、自動車のEV化の波が加速してきていることは間違いない。当社の自動車補機駆動用ベルトは内燃機関を搭載した車の中で補機を駆動するという役割を担うが、EV化されると内燃機関はなくなり、当社にとっては非常に大きなインパクトになる。ただ新車がEVに切り替わっていくにしても、まだ内燃機関を搭載した車はしばらく使用されるので、補修部品としての需要は残る。そこはしっかり獲得していく」(同)

 一方で、新しい用途開発も視野に入れて技術の横展開を目指す。
 「EV化すると従来の補機駆動用としてのベルトは減少する方向だが、EPS(電動パワーシステム)や電動ブレーキシステムには伝動ベルトが使われるものがあり、スライドドアなどのモノが動くところに何らかの形でベルトが関わる機会がある。このような新しい用途でもしっかりスペックインしていくことが必要だ。また、新事業として電子資材関係の新製品開発を進めているが、EVの普及で新しいビジネスチャンスができると考えている。時代の変化に沿って事業領域を変えていく必要があるが変化を見極めてしっかり取り組んでいきたい」(同)と力を込める。

 同社が見据える重点製品も多岐にわたる。
 「当社グループの製品はさまざまな産業との関わりがあり、製品群も多岐にわたる。時代を反映する製品として、特にカーボンニュートラルという観点では、消費電力の削減や省エネが強く求められるようになっている。その中で、すでに上市し実績を築いてきた“HFD(ハイパーフラットドライブ)システム”は、いわゆる平ベルト駆動が非常に省エネに有効ということで、工場や大型商業施設などの送風機の用途で需要が高まっている。このような時代の変化に合わせた需要にも積極的に対応していきたい」(同)

 農業分野も需要拡大が期待できる分野と捉えている。
 「自動車とは異なり、世界的にも人口が増えるなかで、食料問題は大変重要だ。農機向けのベルト需要の拡大についても期待している。海外市場では大型農機が普及しており、それに対応するベルトの開発も加速させていく。さらに将来を見据えると、例えばスマート農業なども進み、それに伴い、農機も進化していくだろう。例えば自動刈り取り機をはじめ、物理的に何か動かす力を伝えていくところには必ずベルトは必要だ。既存製品も含め当社の技術力を発揮する製品提案を行っていきたい」(同)

 SDGs活動、ESG経営への取り組みもぶれない。
 「SDGsについては、当社だけではなく日本の企業は、創業時からそれに準じた企業経営の発想があって、これまで継続してきたと考えている。当社の場合は現中長期経営計画BF-2と関連深いSDGsの17の目標のうち、7の“エネルギーをみんなにそしてクリーンに”、12の“つくる責任つかう責任”、8の“働きがいも経済成長も”の3つを特に注視し、KPI(重要業績評価指数)で目標設定して取り組んでいる。企業が社会で果たすべき役割が変わっていく部分もあるだろうが、柔軟な対応を行っていきたい」(同)
 ESG経営についても同様に世の中の要求に合わせ対応を考えていく。

 「CO2排出量の削減については元々、2030年時点でのCO2排出量を2013年度と比較して18%削減目標を掲げていたが、昨年政府からさらに上回る目標が出されたので、現在その見直し作業を進めている状況」(同)だ。

 植野社長は人事・総務部長も経験し、働き方改革と人材育成についても意欲的な取り組みを掲げる。
 「当社は2018年に働き方改革部を設置し、業務の現状分析を行い業務のプロセスなどの改善や従業員の意識を変えていくことなどに取り組んできた。また、もともと育児・介護等を理由とした従業員に限定していた在宅勤務制度を全従業員が利用可能とし、自律的に集中して取り組むことで生産性が上がる業務を在宅で行うことも可能とした。その他にもコロナワクチン接種に関しては、従業員自身や家族のケアに使用できる特別有給休暇制度も整え接種しやすい環境にしている」(同)。

 人材に関しては、人事部門での経験から、「職種、営業、技術、生産現場、それぞれの階層と幅広く充実したカリキュラムで対応してきた。ここ最近はこれに国内外で活躍できる次世代リーダーの育成に特化した教育にも取り組んでいる。人材教育は継続性、持続性が大切で、今後も注力していきたい」(同)と強い意志を見せている。

 ■植野富夫社長のプロフィール
 1992年バンドー化学入社。2007年4月営業本部名古屋支店AMP営業部長、2011年4月人事・総務部長、2013年4月ベルト事業本部自動車部品事業部営業部長、2015年4月自動車部品事業部副事業部長兼企画管理部長、2017年10月Bando Manufacturing(Thailand)取締役社長、2019年4月執行役員、2020年6月監査等委員でない取締役(現任)、2021年4月常務執行役員・海外事業担当、2022年4月代表取締役社長・社長執行役員

 座右の銘は「着眼大局、着手小局」。「一期一会」も好きな言葉。人との出会いのほか、仕事での課題、局面なども一期になると理解し、その経験を大切にしている。

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