日機装のナセル部材として
帝人、炭素繊維中間材料が航空機向け次世代エンジンに採用
工業用品 2021-06-09
帝人の炭素繊維「テナックス」を使用した中間材料が、日機装が開発した航空機向けの次世代エンジン用ナセルの部材として採用された。ナセルとは航空機のエンジン、燃料や搭載機器を保持するために設けられる筐体のこと。
今回採用された炭素繊維中間材料は、帝人の独自開発による航空機用の高性能速硬化エポキシ樹脂を使用したプリプレグで、一般的な航空機向けプリプレグよりも低温度で、かつ短時間に成形できる。
また、航空機用途で広く使用されているオートクレーブ成形だけでなく、大量生産に適したプレス成形にも対応可能で、プレス成形した場合もオートクレーブ成形と同等の品質を実現する。
さらに、一方向プリプレグを繊維方向に8分の1~2分の1インチ幅にスリットしたテープを複数同時に自動積層する、Automated Fiber Placementにも対応している。これは3次元曲線など複雑な形状でも成形できる技術で、速硬化エポキシ樹脂による成形と組み合わせることで生産効率を最大限に高めることが可能となっている。
こうした生産性やコスト効率に優れている点が評価され、今回の採用に至った。
このナセルの部材は、エアバス社が進めている「Propulsion of Tomorrow」プロジェクトに採用されることが決まっており、2021年末までに試作品が納入される予定となっている。
同社は今回の採用をきっかけに、中期経営計画において「Strategic Focus(将来の収益源育成)」に位置付けている航空機向け炭素繊維中間材料の展開をさらに進めるとともに、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提供を強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していく。