【特集】ロール/ブランケット
7-9月のロール生産実績、堅調から一転停滞
工業用品 2016-12-19
ロールの生産量が停滞している。日本ゴム工業会まとめによる16年の第3Q(7―9月)のロール生産量は、951トンで前年同期比3.9%減となり、15年の第1Q(4―6月)以来6Qぶりに前年同期実績を下回った。
用途別では印刷用のみ325トンで同3.4%増と14年の第3Q(7―9月)以来8Qぶりのプラスとなったが、それ以外の用途では、製鉄用が267トンで同3.7%減、製紙用が173トンで同7.6%減、フィルム用途などを含むその他は183トンで同11.8%減となり、軒並みマイナスとなった。
生産量がマイナスに転じた要因のひとつとして、16年に為替が円高傾向で推移したことが挙げられる。円高により需要先業界の業績が悪化し、関連企業がそれまで積極的に行っていた設備投資を抑制。その影響が今年度下期に入ってから一気に表れたと思われる。
ロールメーカーからも、「上期までは設備投資やプラント案件に伴う需要が旺盛だったが夏以降から動きが鈍化し、下期に入ると動きが止まってしまった」との声が聞かれ、統計数字を裏付けている。
特に落差が大きいのが製紙用だ。15年の生産量は第2Qから3Q連続で20%以上のプラスとなるなど非常に好調だった。16年に入っても勢いこそ落ち着いたものの、第1Qが同8.2%増、第2Qが同10.0%増と堅調に推移していたため、第3Qの同7.6%減は急激に落ち込んだ感がある。
落ち込みの要因は、企業再編による設備統合に加え、円高に振れたことで安価な輸入紙が増加した影響ではないかとみられる。輸入紙の増加により国内の紙生産量が減少、それに伴いロールの消耗ペースが落ち、交換需要の減少に繋がったと考えられている。
なお、唯一のプラスとなった印刷用はUV印刷用が牽引している。また新聞印刷用も東京五輪開催に向けて印刷機械の新台導入の動きが出始めており生産は順調だ。
しかし、市場の大部分を占める油性印刷の需要は引き続き減少傾向で推移。特にオフセット輪転印刷機用の需要は大幅に減少しており、長期的には市場は縮小傾向で推移していくとみられる。
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