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自動車・タイヤメーカーが“試乗”

S&VL、ウェット路面のシミュレータを公開

タイヤ New! 2026-06-25

 開発・設計支援を展開するプログレス・テクノロジーズ グループのグループ会社で、自動車関連のバーチャルテストを提供するS&VLは6月23日、同社技術研究所(群馬県太田市)で「ウェットタイヤモデルを活用したドライビングシミュレータ試乗会」を開催したと発表した。自動車メーカー、タイヤメーカー、研究機関から約20人を招き、環境依存性が高いため再現試験が困難とされてきたウェット路面シミュレーションの完成度を披露した。

「ウェットタイヤモデルを活用した         ドライビングシミュレータ試乗会」の模様


 “試乗会”は、シーメンスおよび米バージニア工科大学の関連会社GCAPSとの共催で、5月26日に実施。自動車の開発・設計では、効率化を狙いモデルベース開発(MBD)やシミュレーションを活用したデジタル開発が進展する一方で、シミュレーションでの再現が難しいウェット路面については従来、経験則に依存した評価が主流となっていた。

 こうした中、3社は、シーメンスのタイヤ挙動シミュレーションソフト「MF-Tyre/MF-Swift」に新規追加されたウェットタイヤのモデルを、ドライビングシミュレータ上でリアルタイムに統合・動作させるプロトタイプ環境を構築。これを今回の試乗会で初めて実証した。

 シミュレータでは、水膜の厚さなど、実車試験では一定に保つことが難しいウェット路面の評価条件の再現が可能となり、統一した条件で安全に、繰り返してウェット性能を確認できることが大きな利点とする。これにより、ドライ路面とウェット路面におけるハンドリングの応答性や走行安定性の差異を短時間で比較し、タイヤ特性とドライバビリティの相関を体感的に把握できるようになったという。

スクリーン上に表示されるウェット路面では、周囲の樹木や壁、標識の反射が映り込むなど、視覚的なリアルさも再現。


 試乗会では、時速40~120キロメートルにおける直進安定性など、実際の開発を想定した条件でシミュレータを試してもらった。試乗後には、参加者同士でタイヤおよびシャシー制御の開発への適用可能性について議論する場を設け、タイヤと車両の統合評価に関する技術的知見の共有促進にもつなげた。

 参加者からは「実車では、安全面からウェット路面を時速120キロメートルで走行することが難しく、実際の挙動(トラクションの低下)を体感できたことで、ドライビングシミュレータの可能性を感じた」(自動車メーカー)、「タイヤモデルの差異がドライバーの操作感にどのような影響を与えるのかは、シミュレーション結果だけでは把握しきれない部分があるが、実際に自身でシミュレータを体験し、操作感や車両挙動を体感することで、モデルの意味や影響をより深く理解できた」(タイヤメーカー)、「ドライビングシミュレータを単なる代替手段ではなく、新たな開発手段として、メーカーとサプライヤーが一体となり議論できる点に大きな可能性を感じた。こうした場が新しい技術革新を生み出す起点になると期待している」(自動車メーカー)といった評価を得た。

 3社は今後、ウェット路面シミュレータの高精度化に取り組むと同時に、スノーやアイスなど多様な路面条件や、近年の気候候変動による降雨特性や路面環境の変化を踏まえた検証ニーズへの対応も図り、次世代タイヤの開発と車両安全の向上に貢献していく考えだ。

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