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ストレッチ性とキックバック性備える

ミズノ、製造業向けに綿100%のアパレル新製品を発売

その他 2023-05-24

 ミズノがワーク市場での展開を加速している。同社はワークアパレルを中心にワークシューズ、手袋などを同市場で展開。これまでに700社以上の納入実績がある。2019年にはワーク事業部を新設し営業体制を強化。売上高は2023年3月期の97億円から2026年3月期には170億円まで拡大させる方針だ。業績拡大のポイントになるのが、ワーク市場において就業者数の多くを占める製造業への展開。5月20日には製造業に向けたアパレル、シューズの新製品を発売した。拡充したラインアップの提案によって、新規開拓を進めていく。

新製品の「ワークジャケット、パンツ」



 ワークアパレルの新製品として投入したのが、ミズノが素材メーカー・日清紡テキスタイルと共同企画した、ストレッチ性を持つ綿100%生地採用の「ワークジャケット、ワークパンツ」。ミズノではこれまで、運送業等を中心に吸汗速乾性に優れ、動きやすいポリエステル製のユニフォームを展開してきた。今回の新製品は、「製造業の特に溶接を行う部署では、ユニフォームに天然繊維製の綿100%素材を求めるユーザーが多く、その声に応える形で2年ほどを掛けて共同企画・開発を進めた」(ミズノ)。

綿100%ながらストレッチ性とキックバック性を備える



 一般的に綿100%でできた生地は、合成繊維が含まれる繊維と比べ、ストレッチ性(伸び)とキックバック性(伸びた後の戻り)が低いことがネックとされてきた。新製品では、日清紡テキスタイルの独自技術を採用することで、20%以上のストレッチ性と95%以上のキックバック性を両立させ、これらの課題を解消した。

 ポイントとなる技術は「特殊な糸」、「独自の織組織」、「改質加工」の3点。糸には特殊なより構造で綿100%でありながら、バネのようなストレッチ性を備える「ピュアツイスト」を採用。織り方を、表面と裏面のタテ糸でヨコ糸のピュアツイストを包み込むような二重構造にすることで、ストレッチ性を発揮しやすくした。

従来の紡績糸(イメージ)


ピュアツイスト(イメージ)



独自の織組織



 また、改質加工では、横方向のストレッチ性とキックバック性を高めるために、セルロースの分子構造にまで踏み込んだ液体アンモニア加工と改質加工(樹脂加工)を採用。液体アンモニア加工によって綿繊維を瞬時に改質し、縮れさせることでストレッチ性を出す一方で、伸びた繊維が戻ろうとする改質加工(樹脂加工)を施すことでキックバック性も発揮させている。

 それらに加え、ミズノがスポーツ製品で培ったノウハウを活用し、作業時の動きやすさも追求した。人間工学に基づいた動作解析によるウエア設計「ダイナモーションフィット」により、腕の曲げ伸ばしや肩の回線、足の屈伸運動動作時の引きつれや圧迫感も軽減し、作業効率の向上が期待できる製品に仕上げた。

 サイズ展開は、XSから6XL-8 までの9種類で、価格はオープン。カラーは、ワークジャケットではベイパーシルバー×チャコールグレーとブルー×ネイビーの2パターン、ワークパンツではチャコールグレーとネイビーの2色で展開する。

ワークジャケット(ブルー×ネイビー)


ワークパンツ(ネイビー)



 「綿100%の製品をラインアップしたことで、製造業向けに拡販するためのアイテムを得た。綿製品としては後発となるが、ストレッチ性とキックバック性の両立は技術的に難しく、付加価値としては大きい。また少子高齢化を背景に、社員の安全性や快適性に対しての企業側の配慮が高まるとともに、採用やその後の定着率も意識して、制服や備品などに高付加価値品を支給する流れが強まってきた。その中で、これまでスポーツブランドとして培ってきた、当社のブランド力やデザイン力、開発ノウハウは大いに武器になる」(同)と期待を寄せる。

 販売面では法人向けを中心に展開していく方針で、年間で3,000枚の販売を目標としている。

ワークシューズの新製品も展開

 シューズ製品では、重作業・普通作業用ワークシューズ「PRIME FIT (プライムフィット)NG11L」を発売した。従来の重作業・普通作業シューズの課題である、「ソールの減りが早い」「重い」「クッション性を感じにくく足への負担が大きい」という課題を解消した。

ワークシューズ「PRIME FIT NG11L」


セル構造


 アウトソールには従来のミズノワークシューズよりも意匠を高くすることでベースを厚くし、ゴム素材には耐摩耗性に優れたソリッドラバーを使用することで耐久性を向上。ソールサイド面は必要最小限の領域のみラバーで覆い、軽量素材のEVAスポンジを採用することで、剛性と耐久性を保ちながら片足450g(26.0㎝サイズ)という軽さも両立した。

 クッション性については、踵部にクッション性を高める「セル構造」を搭載したミッドソールを採用。素材には、ランニングシューズでも使用している柔らかい「U4icX(ユーフォリックエックス)」を採用することで、従来のミズノワークシューズに比べクッション性を高めた。

 また開発に当たり、ミズノ初となるEN ISO 20346規格(保護靴)を取得し、JIS規格相当の高い安全性も確保している。

 サイズは22.0~28.0cm、29.0㎝、30.0㎝で、価格はオープン。カラーはブラックを用意している。販売面では全国の作業用品専門店やホームセンター、ミズノ公式オンラインなどで展開し、年間販売で3,000足を目指す。

 「軽量に特化したシューズは他にもあるが、クッション性と耐久性を高レベルで備えた製品としてはかなりの軽量化を実現している。アパレルで実績のある企業はもちろん、製造業を中心に幅広い企業に新規提案していく。ユニフォームや手袋など、他のラインアップも合わせて提案できる当社の強みを最大限に活かし、拡販につなげていきたい」(同)。

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