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【特集】ゴム関連企業の海外進出<アセアン編>

加藤産商、マレーシアを皮切りに拠点拡大へ

商社 2018-05-09

カサンコーポレーション・マレーシア


 原材料商社大手の加藤産商は1990年8月、マレーシアに「カサンコーポレーション・マレーシア」を設立したのを皮切りに翌91年9月には子会社でゴムコンパウンドメーカーの海外子会「サイコーラバー・マレーシア」を、99年11月には「カサンコーポレーション・タイ」、2011年4月にはインドネシアのジャカルタに「カサン・インドネシア」、そして14年10月にはベトナムのハノイに「カサンナム・ベトナム」と現在アセアン地域に5つの現地法人を有し、グループ展開している。

 「カサンコーポレーション・マレーシア」の1990年の設立当初は、早くから東南アジア地域に生産拠点を進出させていた日系家電メーカーの家庭用電化製品である白物家電やOA機器分野をメインユーザーとし、次いで自動車部品分野へと販路を広げた。ゴムコンパウンドメーカーの「サイコーラバー・マレーシア」は、マレーシアの国策自動車メーカーのプロトンをはじめとする自動車産業の成長性を見込んで設立したもので、日本資本でのゴムコンパウンドメーカーの海外進出での先陣を切った。

 「マレーシア国内は安定した推移をみせ、低迷期もあったが2015年あたりから売り上げ、利益とも回復基調にある。近年はローカルも含めた非日系企業への販売や新たな付加価値製品の需要も活発な状態だ」と笠原和久取締役営業本部副本部長は語る。

 サイコーラバー・マレーシアでは現地調達が出来る原材料の多様化なども追い風となりニーダーを増設し増産対応するなどして好調を続けているが「アセアンに限らず海外では為替の変動が大きいとネックになる」(同)と課題点を挙げる。

 「カサンコーポレーション・タイ」は1997年のアジア通貨危機で「計画より2、3年出遅れた」(同)。しかし、その後に日系企業のタイ進出が活発化し、現在では同社の海外拠点として最大規模を誇る拠点にまで成長した。タイでの成功は「現地採用の人材に恵まれたことが要因のひとつ」(同)にあり、勤続年数を重ねたスタッフが有機的に活動している。

 「カサン・インドネシア」は、設立から8年となるが昨年黒字化を達成した。「これは為替が大きく味方した」(同)。今後も日系企業の進出が活発化することでゴム用途以外も含めて需要が拡大すると見込む、期待の拠点だ。

 2014年設立の「カサンナム・ベトナム」は、昨年は黒字となったが、「今年は為替の影響を気にしている」(同)状況だ。中国に進出していた企業のベトナム移転が話題になっていたが、自動車関連分野での需要が少なく二輪車やOA関連が中心となっている。現地内需が少なく加工貿易が中心となる現在の産業構造から現地販売の必要性や商材が当初見込みより薄く、「新しいマーケット形成が課題となっている」(同)。

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