【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、軟調地合続き200円割れ
連載 2017-10-16
(マーケットエッジ株式会社 小菅 努)
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=190円台まで値位置を切り下げる展開になった。国慶節の連休明け後の上海ゴム相場の上値の重さが嫌気され、リバウンドを想定していた向きの投げ売りが活発化している。
上海ゴム相場は国慶節前に1トン=1万3,000元台までコアレンジを切り下げていたが、マーケットでは連休明け後のリバウンド期待も高まっていた。旧正月明けで現物筋の在庫手当が活発化し易いこともあり、少なくとも自律反発的な動きは見られると予想している向きが多かった。
しかし実際には、国慶節前後で上海ゴム相場の値位置に大きな変化はみられず、鉄鉱石や石炭相場などは逆に下値を切り下げていることが、改めて東京ゴム相場の上値を圧迫している。
特に目新しい動きが報告されている訳ではないが、中国の政策引き締めに対する高いレベルの警戒感が見受けられる。10月18日からは中国共産党大会が始まるが、大気汚染対策やデレバレッジなどの政策調整が本格化するリスクが警戒されている。特に、ここにきて冬の大気汚染対策で工場の操業規制が想定以上に厳しいものになるとの観測が強くなっていることが、中国の素材市況全体を押し下げており、その流れの中で上海ゴム相場も上値の重い展開を強いられている。
「思惑先行」であり投機色の強さも否めないが、中国コモディティ市況全体のトレンドが下向きの間は、上海ゴム相場のみが大きくリバウンドすることは難しい状況が続いている。
一方、産地では価格低迷の影響もあって集荷が抑制されている。生産環境そのものは良好だが、農家の売り渋り傾向が続いている。現物相場は、未燻製シート(USS)に続いてRSSも1キロ=50バーツの大台を割り込み始めており、生産コストの限界も警戒される。このため、生産国が市況対策に動き出すシナリオも想定しておく必要があるものの、現段階では具体的な動きは報告されていない。
9月15日の生産国会合では、価格動向次第では輸出規制を導入する可能性が強く示唆されていたが、タイはこれからプミポン前国王の葬儀を迎えることもあり、政治的な動きの鈍さが否めない。
引き続き焦点になるのは上海ゴム相場の動向であり、大気汚染対策、デレバレッジなどの政策調整に対する警戒感が維持されている間は、上海ゴム相場主導で東京ゴム相場も下落リスクを抱えることになる。極めて投機色の強い相場環境だが、米中の良好な9月新車販売統計も殆ど材料視されておらず、上海ゴム相場主導で、生産者サイドの安値限界ラインが打診されることになる。
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