【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、需要不安で3カ月ぶり安値
連載 2025-10-06
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=300円の節目を割り込み、6月25日以来となる約3カ月ぶりの安値を更新した。10月1日から中国は国慶節の連休入りしたが、それと前後して需要不安を織り込む動きが優勢になり、値位置を切り下げた。
原油相場が約4カ月ぶりの安値を更新したこと、為替が1ドル=150円水準から147円近辺まで円高・ドル安に振れたこともネガティブ。

上海ゴム先物相場は、9月上旬に1トン=1万6,000元台前半まで値上がりしていたが、1万5,000元台前半まで軟化し、国慶節の連休に入った。
中国の新車販売は、景気減速下でも政府の買い替え促進策などを背景に底固く推移していた。中国汽車工業協会によると、1~8月の新車販売台数は前年同期比12.3%増の1,683万6,000台に達している。しかし、地方政府が予算枠の消化を終えたことで販売支援の縮小・停止の動きを強める中、年末にかけて改めて自動車市場が減速するリスクが警戒されている。
また、中国国営新華社系メディアの新華毎日電訊は、一部の自動車メーカーが新車受注台数を水増ししていると報じた。中国政府は、新車販売市場の過当競争や不正行為を是正する取り組みを強化しているが、こうした市場環境の正常化を促す動きも、需要不安を高めている。また、競争激化で新車販売価格が抑制されているため、自動車部品に対する値下げ圧力が強くなっていることも、ゴム相場に対する下押し圧力として機能している。
7月に天候リスクの織り込みで335.00円まで値上がりした後は、310~325円水準で膠着気味の展開が約1カ月半続いていたが、改めて需要不安の売り圧力が広がりをみせるのかが焦点になる。
一方、産地では中国南部から東南アジアにかけて雨がちの天候が続いている。局地的な豪雨でゴムの生産・流通への影響も警戒されるが、積極的にリスクプレミアムを加算していくような動きはみられない。
7月のような大規模な洪水被害が発生しているわけではなく、潜在的な価格上昇リスクとの評価に留まっている。OSEゴム相場も、期近限月に対して供給リスクのプレミアムを加算していくような動きはみられない。
原油相場は、10月5日に石油輸出国機構(OPEC)プラスが大規模な増産を決定するとの見方から、改めて値下がりしている。ロシアやイラン産に供給不安を抱えていることで9月中旬は強含みの展開になっていたが、需給緩和見通しが一段と強くなっていることが改めて嫌気されている。原油相場の軟化は、ゴム相場の上値圧迫要因としても機能している。
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