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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、中国経済減速で上値重い

連載 2021-09-06

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=200~210円水準でやや上値の重い展開になった。中国経済の減速懸念が一段と強まる中、8月31日には一時201.90円まで下落し、昨年10月19日以来の安値を更新した。しかし、その後は中国政府の政策対応に対する期待感を背景に安値修正の動きも見られ、200円台後半まで切り返している。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万3,000元台後半まで値下がりしている。8月19日に1万5,000元水準に抵抗を受けていたが、27日には1万4,000元も完全に下抜く展開になっている。

 新型コロナウイルスの感染被害はゴムの主要生産地である東南アジアが最も厳しい状況と言われているが、農産物供給に対しても影響が報告されている。特にベトナムではコーヒーのサプライチェーンが断絶していることがコーヒー相場の高騰を促したが、ゴムに関しても一定の影響は避けられない状況になっている。ただ、タイ中央ゴム市場の集荷量は総じて安定しており、東南アジア全体としては供給サイドのリスクを織り込むような動きは鈍い。9月2日時点の現物相場は、USSが前週比0.2%高の1キロ=51.68バーツ、RSSが同0.1%高の55.15バーツとなっており、目立った動きを見せていない。JPX天然ゴム先物相場は、当先で10円を超える順サヤ(期近安・期先高)が続いており、ここにも供給リスクの織り込みはみられない。

 一方、中国の8月製造業PMIは、国家統計局発表で前月の50.4に対して50.1、財新発表で同50.3に対して49.2となっている。活動の拡大・縮小の分岐点である50を割り込み始めており、中国経済が減速に留まらず、縮小に転じ始めた可能性が示唆されている。鉄鉱石や非鉄金属相場などの上値が重い展開になる中、ゴムに関しても需要不安を織り込む形で下値を切り下げている。

 ただ、あまりに急激な景気減速圧力を受けて、中国では政府や中央銀行が景気支援策に動くのではないかとの見方が急浮上している。インフラ投資や金融緩和などの政策ツールが動員されると、改めて景気が強く刺激される可能性がある。特にインフラ投資はトラックなど商用車用タイヤ需要を大きく押し上げる可能性があるだけに、ゴム相場は中国経済の減速懸念で売られる一方で、中国政府の政策対応期待で買われ、結果的に安値圏で明確な方向性を打ち出せない展開になっている。

 このまま需要不安を背景に200円の節目割れに向かうのか、中国政府や中央銀行が景気の下支えに動くことで、下げ一服感が広がるのかが焦点になる。

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