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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、10月急騰後の急反落に

連載 2020-11-09

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが10月29日の1キロ=292.90円をピークに220円水準まで急反落する展開になった。10月の急ピッチな上昇相場の反動から、調整売り優勢の展開になっている。また、産地で集荷量が増加傾向を見せていることも、調整売りを誘っている。

 上海ゴム先物相場も、10月29日の1トン=1万6,635元をピークに、1万5,000元水準まで急反落し、10月22日以来の安値を更新している。

 10月のゴム相場は前月比で66.20円高(36.0%高)と驚異的な上昇率を記録した。需要環境の改善が進む一方で供給環境は不安定化しており、産地需給のタイト感が急伸相場を促していた。しかし、最大で108.90円もの上昇幅を1カ月で実現したことで過熱感も強く、11月入りと前後して調整局面に移行している。出来高も急増しており、持ち高調整の動きが活発化していることが窺える状況になっている。

 一方、産地相場も消費地相場と歩調を合わせる形で急落している。タイ中央ゴム市場の現物相場は、11月5日時点でUSSが前週比18.7%安の1キロ=60.50バーツ、RSSが同23.2%安の61.86バーツとなっている。RSSは9月末の57.76バーツが10月28日には82.76バーツまで値上がりしていたが、一気に60バーツ台を割り込む可能性も警戒される状況になっている。

 10月入り後は相場が急騰してもRSSの集荷量は一向に増えず、逆に落ち込むような動きさえ観測されていた。しかし、月末にかけて1日当たりの集荷量が今年最高を更新する動きもみられ、産地相場の値下りを供給環境の改善が後押しする展開になった。

 11月の焦点は、こうした集荷量の増加が一時的か否かになる。集荷量の伸びがUSSではなくRSS中心となっていることからは、価格急騰で増産が進んだというよりも、在庫売却が集荷増の主因である可能性が高い。ラニーニャ現象による東南アジアの天候不順はパーム油を約4年ぶりの高値まで押し上げている。マレーシアやインドネシアの新型コロナウイルスの感染被害は、拡大傾向にブレーキが掛かっているが、依然として厳しい状況が続いている。このまま安定的な集荷量を確保し続けることができれば、ゴム相場は更に調整売り優勢の展開が続くことになるが、一時的な集荷増圧力に留まった場合には、9月と同様に調整安に留まることになる。

 欧米でパンデミックが深刻化していることで需要見通しの不確実性も高まっているが、今年のゴム相場は専ら供給サイドの評価に依存しているため、集荷量の安定性の有無が問われる展開が続く。

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