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【マーケットアナリティクス】

天然ゴム相場の1月前半のレビューと1月後半のアウトルック

2017-01-13


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

1月前半のレビュー

 1月前半のTOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1㎏=263.90円で大発会を迎えたが、上海ゴム相場の上昇再開と連動して上値追いの展開になり、月央には300円の大台に乗せる急伸地合を形成している。産地で豪雨・洪水被害が発生する中、産地現物相場主導の上昇圧力も強くなっている。昨年の高値291.70円を早くも上抜き、2013年3月以来の高値での取引になっている。

 昨年後半以降は上海ゴム相場の動向が国際相場を決定づけているが、その上海ゴム相場が再び上昇傾向を強めている。昨年12月下旬には人民元安の一服感などから調整売りが膨らみ、1トン=2万580元をピークに1万7,200元まで急落していた。しかし、年明け後は改めて投機筋の物色意欲が強まる中、2万元台まで値位置を切り上げている。中国通貨当局の介入観測から人民元相場が急反発する場面もみられたが、人民元安に終止符を打つことに失敗する中、再び上海ゴム市場に投機マネーの流入が活発化している。鉄鉱石や石炭相場なども再び上昇傾向を強めており、上海ゴム相場主導の東京ゴム相場高に終止符を打つには至っていない。

 一方、価格が急騰しているにもかかわらず、産地集荷量は低迷している。ラニーニャ現象は収束に向かっているが、東南アジアでは豪雨が観測されており、タッピング(ゴム樹液の採取)障害が発生している。タイ中央ゴム市場のRSS3号現物相場は、昨年末の1㎏=76.19バーツに対して、1月12日時点では85.34バーツに達している。タイ産オファーも昨年末の224セントに対して1月11日時点では250セントに達しており、産地主導の相場上昇圧力も観測されている。

 引き続き上海ゴム相場主導の展開になっているが、これまで殆ど材料視されてこなかった産地需給もゴム相場の上昇を支援し始めていることで、過熱気味の上昇相場になっている。為替相場は円高気味の推移になったが、上海ゴム相場主導の上昇圧力を相殺するまでの影響力はみられなかった。

1月後半のアウトルック

 1月下旬も上海ゴム相場主導の展開が想定されることになる。中国市場では投機マネーの流入傾向に一服感も広がり始めていたが、年明け後は鉄鉱石や石炭相場なども再び買い上げられており、循環物色が再開されていることが窺える。中国人民銀行(中央銀行)がビットコイン運営会社への調査に着手したと発表するなど、人民元安につながる海外への資本流出に当局が神経を尖らせていることが確認されている。このためにビットコイン相場は急落しているが、人民元安に対する退避場所が狭まる中、中国コモディティ市場に対しては逆に投機マネーの流入が促され易い環境になっている。年初からの上海ゴム相場の急騰地合が持続可能なものかは疑問もあるが、なお上海ゴム相場がピークアウトする兆候は確認できない。上海ゴム相場が改めて高値更新サイクルに突入した際には、東京ゴム相場は300円台確立に動こう。

 ただ、あくまでも上海ゴム相場主導の上昇地合のため、中国当局が強力な資本・為替規制などを導入すると、ゴムのみならず中国コモディティ市場全体から投機マネーの流出が促される可能性も想定しておく必要がある。投機主導のボラタイルな相場環境になっているため、12月下旬と同様に調整圧力が強まった際の値幅は大きくなる可能性が高いことには注意が必要である。これまでと同様に、値幅は大きくなりやすい。

 タイなどの東南アジアでは年初から豪雨・洪水被害が発生している。今後は乾季に向かうことで一時的な供給減少圧力に留まるとみているが、タイゴム当局者は2016/17年度の天然ゴム生産が10%落ち込むとの見通しを示している。昨年までは、産地需給環境は殆ど材料視されていなかったが、ここにきて産地供給環境もポジティブ材料視されていることに注目したい。1月下旬にはウインタリング(落葉期)に入ることもあり、供給動向もゴム相場を上向きに刺激しやすい状況になっている。

 投機要因に支配された上海ゴム相場主導の展開が続いているだけに、昨年後半の不安定な地合が17年にも持ち越された格好になっている。ただ、人民元保有が警戒される状況が続く中、天然ゴムに限らず中国コモディティ市場に対しては投機マネー流入が促されやすい環境が続いており、東京ゴム相場は300円台確立が打診されることになる。引き続き、中国系投機マネーのコモディティ市場に対する投資スタンスに変化が生じるか否かが焦点になろう。

【レンジ】
1月前半の取引レンジ 260.80~300.90円
1月後半の予想レンジ 265.00~325.00円

【プロフィール】
小菅 努(こすげ つとむ) マーケットエッジ株式会社 代表取締役

 1976年千葉県生まれ。筑波大学卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。コモディティ市場や金融市場の調査・研究・分析業務に従事。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)

http://www.marketedge.co.jp/
https://twitter.com/kosuge_tsutomu

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