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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、期先横ばいも当限小幅高

連載 2020-07-20

(マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)
 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=150円台中盤から後半での小動きに終始した。週を通じて積極的な売買は見送られ、持高調整中心の小動きに終始した。上海ゴム相場主導の上昇は一服し、160円の節目突破は見送られている。一方で本格的に戻りを売り込むような動きはみられず、値動きの鈍さが目立った。

 上海ゴム先物相場も、1トン=1万元台中盤で揉み合う展開になっている。上海株主導の急伸地合は一服したが、大きく値崩れを起こすようなことはなく、東京ゴム相場と同様に小動きに終始した。

 新型コロナウイルスが引き続き主な関心事になっているが、マーケットの評価は割れている。米国では連日のように新規感染者数が過去最高を更新し続けており、カリフォルニア州が飲食店の屋内営業を禁止するなど、改めて経済活動の制限を始めている。このまま感染被害を封じ込めることができなければ、新車販売や自動車・同部品生産にも影響が生じる可能性がある。

 一方で、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬開発を巡っては、治験の成功報告が相次いでおり、一部医薬品会社は7~9月期中に供給を開始できると自信を示している。この結果、「経済活動停滞への警戒感」と「投資家のリスク選好性の高まり」が同時進行する展開になり、ゴム相場は明確な方向性を打ち出せなかった。

 中国の6月新車販売台数は前年同月比11.6%増の230万台となり、3カ月連続でプラスとなった。乗用車は同1.8%増の176万4,000台に留まったが、政府のインフラ投資拡大でトラックなど商用車は同22.8%増の17万2,900台と急増している。

 1~6月期だと前年同期比16.9%減の1,025万7,000台になるが、新型コロナウイルスのもたらした混乱状況の中では、十分に健闘したと評価できる状況にある。中国汽車工業会は、通年の販売について感染が抑制されれば10%減、海外で感染が拡大すれば20%減との見通しを示している。マイナス化は避けられない見通しだが、従来との比較では落ち込みは軽微に留まる予想になっている。

 産地市場では、集荷量は低迷しているが、相場はやや底固く推移した。タイ中央ゴム市場の集荷量は、USS、RSSともに目立った変動がみられない。しかし7月16日時点の現物相場は、USSが1.2%高の1キロ=40.07バーツ、RSSが同0.4%高の43.72バーツとなった。USSは6月10日以来の40バーツ台回復となっている。こうした動きから東京ゴム市場でも期先はほぼ横ばいだったが、当限は約4カ月ぶりの高値圏となる140円台後半まで小幅値上りしている。

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