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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、上海ゴム主導でじり高に

連載 2020-07-13

(マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)
 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=150円台後半まで小幅上昇する展開になった。中国株の急伸を受けて上海ゴム相場も底固く推移する中、東京ゴム相場も小幅上昇した。売買は盛り上がりを欠く小動きが続いているが、6月15日以来の高値を更新している。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万元台中盤まで値上がりしている。6月29日の1万50元をボトムに安値修正が進み、3月6日以来の高値を更新している。

 中国株の急伸が、上海ゴム相場も押し上げる展開になっている。国営メディアの中国証券報は7月6日、健全な強気相場を促すことが経済にとって重要になっているとの論説記事を掲載した。これを受けて中国政府が強引に市場安定の演出を行い、株価が高騰する2015年型の官製相場に発展するのではないかとの見方が浮上している。上海株価指数は月初の3,000ポイント水準から3,400ポイント台前半まで急伸しており、その流れからゴム以外にも鉄鉱石や石炭、銅など中国経済と関係の深い資源価格が軒並み上昇している。

 中国汽車工業協会は、6月の同国新車販売が前年同月比11%増になったとの見込みを示した。3カ月連続で前年同月比プラス、2カ月連続で2ケタ成長になる。政府のインフラ投資で商用車販売が拡大していることに加えて、販売奨励策の導入で乗用車販売も好調な状態にある。今後は販売奨励策の終了に伴い販売ペースが鈍化するとの警戒感もあるが、足元では良好なデータが得られている。

 一方、米国では新型コロナウイルスの感染者数が急増している。累計感染者数は300万人を超え、1日当たりの新規感染者も過去最高を更新し続けている。米政府は都市封鎖(ロックダウン)の再導入には否定的だが、米金融当局者からは経済見通しの急激な悪化に対して警戒の声が上がり始めている。このまま感染被害が広がり続けると、政府の意向とは関係なく新車販売や自動車生産環境に影響が生じる可能性もある。

 ただ、米国株は不安を抱えながらも高止まりしており、先行き不透明感を抱えながらも改めて景気下押し圧力が強まる展開を織り込むことは見送られている。

 一方、産地では乾燥懸念が根強いものの、タイ中央ゴム市場ではUSSの集荷量が若干の改善傾向を見せ始めている。ただ、RSSの集荷量は4月以降にほとんど変化がみられない状況にある。現物相場は、7月9日時点でUSSが前週比1.1%安の1キロ=39.29バーツ、RSSが同0.3%高の43.58バーツとなっており、上海ゴム相場高を無視した横ばい状態が続いている。

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